「Thulla」騒動

リー州首相で庶民党(AAP)党首のアルヴィンド・ケージュリーワールは話題に事欠かない人物であり、彼の一挙手一投足を追って行くのは疲れるが、今回はヒンディー語に関することだったので、取り上げてみようと思う。

 事の発端はちょうど1年前の2015年7月17日。ケージュリーワール州首相はTV局のインタビューに答えた。話題はデリーの警察について。

 デリーはインド共和国の首都であることもあって、連邦直轄地(UT)、つまり中央政府の管轄に置かれていると同時に、中央政府とは政治的に独立し、独自の州首相や州議会を持つ州でもあるという、行政上、中途半端な立ち位置にある。デリー州政府の管轄下に置かれていない権限の代表として、土地、公安、警察がある。ケージュリーワール州首相は一貫してデリーの完全州化を求めており、警察権を中央から州に移管する必要性を繰り返し説いている。中央で与党のインド人民党(BJP)も以前は同様の主張をしていたのだが、デリー州議会選挙で旗色が悪くなると、公約からそれを引っ込めた経緯がある。中央で政権を握るBJPは、デリー州議会でほとんど議席を持たないにもかかわらず、デリーの警察権を握っている。これはデリーで政策を進めようとするAAPにとって都合が悪い。実際、AAP政権発足直後から、AAPの政治家や議員が警察に逮捕される事案が多数発生している。

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