Ae Dil Hai Mushkil

ラン・ジョーハルは「Kuch Kuch Hota Hai」(1998年)で監督デビューした後、常にヒンディー語娯楽映画の中心にいた。しかし、業界内におけるその圧倒的な存在感とは裏腹に、彼の監督としての才能には常々疑問を感じていた。シャールク・カーンをはじめとしたオールスターキャストの王道的な大予算型娯楽映画をまとめ上げる力は抜きん出ていたが、デビュー作からなまじっか大成功を収めてしまったためか、繊細な感情の表出や緻密な展開の積み重ねから来る味わい深さに欠けるところがあった。当時としては異例の不倫を扱った映画「Kabhi Alvida Naa Kehna」(2006年)も生焼けの印象を受けた。彼が初めてその殻を破ることに挑戦したのは「My Name Is Khan」(2010年)であったが、病気を使って安易な感動を呼び起こそうというあざとさが鼻についたものだった。「Student of the Year」(2012年)に至っては、なぜ彼がわざわざこのタイミングで自らメガホンを取ってこのような作品を撮ったのか、理解に苦しんだ。

 その一方、2016年10月28日、ディーワーリー週に公開されたカラン・ジョーハル監督の最新作「Ae Dil Hai Mushkil」は、彼の監督としての成長を感じた作品であった。

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