Shubh Mangal Saavdhan

男優アーユシュマーン・クラーナーの出世作に、「Vicky Donor」(2012年)という映画があった。主人公の男性ヴィッキーがバイトのために精子ドナーになるコメディー映画である。ヒンディー語映画界では、スクリーンの内外で女性の力が増してきているが、それに伴って相対的にマルダーンギー(男性性)についてもスポットライトが当てられることが増えてきたように感じる。そして、2017年9月1日公開の「Shubh Mangal Saavdhan」で、遂に本丸に白羽の矢が立てられた。勃起障害、EDである。Eros Nowで鑑賞した。

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Photograph

日本でも「めぐり逢わせのお弁当」の邦題と共に公開され話題となったインド映画「The Lunchbox」(2013年)。そのリテーシュ・バトラー監督の最新作「Photograph」がAmazon Prime Videoで配信されている。邦題は「フォトグラフ~あなたが私を見つけた日」となっている。2019年のサンダンス映画祭やベルリン国際映画祭でプレミア上映され、インド本国では2019年3月15日に公開された。

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AK vs AK

新型コロナウイルス感染拡大により、世の中は劇的に変化をしているが、インド映画界も例外ではない。映画はコロナ禍で打撃を受けた業界のひとつだが、その代わりにNetflixなどの配信サービスが急成長をした。インドでは映画は娯楽の王様であり、しかも、映画は映画館で観るもの、という観念が強い。だが、もしかしたらコロナ禍明けにはインド人のそのような習慣も変わっているかもしれない。そんなことを感じさせる映画が2020年12月24日からNetflixで全世界同時配信された。「AK vs AK」である。

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Torbaaz

クリケットはインドで一番人気のスポーツであり、スポーツ映画の題材としてもNo.1だ。「Lagaan」(2001年)をはじめとして、「Iqbal」(2005年)、「Dil Bole Hadippa!」(2009年)、「Ferrari Ki Sawaari」(2012年)、「M.S. Dhoni The Untold Story」(2016年)など、多数の、しかも多様なクリケット映画が作られて来た。

 2020年12月11日からNetflixで配信されたヒンディー語映画「Torbaaz」も、クリケット映画のひとつである。そのアプローチの仕方はユニークで、アフガニスタンの難民クリケットチームをインド人医師が育て上げるという物語だ。インドとアフガニスタンは友好国であり、インドはアフガニスタンの発展に多大な寄与をしている。

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Guilty

世界で「#Me Too」運動がセンセーションを巻き起こしたのは2017年であった。発端は、米国の映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ被害に遭った女性たちが一斉に声を上げだしたことで、それが世界中のセクハラ被害者たちによる加害者の告発に拡大して行った。インドにおいてもこの運動は飛び火し、特にヒンディー語映画界では女性による告発が相次いだ。もっとも有名なものでは、女優タヌシュリー・ダッターがベテラン男優ナーナー・パーテーカルによるセクハラを告発したものがあるが、その他にも、「Queen」(2014年)の監督ヴィカース・ベヘル、「Housefull」(2010年)の監督サージド・カーン、歌手のカイラーシュ・ケールやアヌ・マリクなどが告発されている。

 2020年3月6日からNetflixで配信されているヒンディー語映画「Guilty」は、「#Me Too」運動を題材にした作品である。監督はルチ・ナーラーイン。「Hazaaron Khwaishein Aisi」(2003年)のライターを務めていた人物である。キャストは、キヤーラー・アードヴァーニー、ターヒル・シャッビール、新人グルファテー・ピールザーダー、新人アーカーンクシャー・ランジャン・カプール、ダリープ・ターヒルなどである。

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Axone

インド北東部には「セブン・シスターズ」と呼ばれる7つの州がある。アッサム州、アルナーチャル・プラデーシュ州、ナガランド州、マニプル州、ミゾラム州、トリプラー州、メーガーラヤ州である。これらの州に住む「ノースイースタン」と呼ばれる人々のほとんどは人種的にモンゴロイドであり、彼らの文化は、南アジアよりもむしろ東南アジアに近い。首都デリーには勉強や仕事のために多くのノースイースタンが住んでいるが、生活様式があまりに異なるため、地元の人々との軋轢も多い。

 2019年にロンドン映画祭でプレミア公開され、2020年6月12日からNetflixで配信されているヒンディー語映画「Axone」は、デリーに住むノースイースタンの若者たちの奮闘記である。監督はメーガーラヤ州出身のニコラス・カルコンゴル。主演は「Margarita with a Straw」(2015年)のサヤーニー・グプター。劇中ではネパール人女性を演じていたが、彼女はインド人のはずである。他に、「Mary Kom」(2014年)に出演していたマニプル人女優リン・ライシュラム、「Vicky Donor」(2012年)のドリー・アフルワーリヤー、「Bheja Fry」(2007年)のヴィナイ・パータク、「English Vinglish」(2012年)のアーディル・フサインなどが出演している。

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Raat Akeli Hai

インドでは「ジョイント・ファミリー」という形態の大家族制が残っている。兄弟が結婚後も両親と共に一ヶ所に住み、その子供たちが従兄弟というより実の兄弟のように暮らす。さらに、使用人を雇う文化もあるため、ひとつの家に住む人間の数はさらに多くなる。さすがに都市部では核家族化・少子化が進み、数世代の親族が共に暮らすことは減ったが、ジョイント・ファミリー的な結びつきは健在で、結婚式などの行事にはそれらの親族が一堂に会す。

 映画は社会や文化の鏡であり、インドの映画やTVドラマでも頻繁に大家族が登場する。実際に地域によってはまだ大家族制が残っていることもあるし、それが解体しつつあるとしても名残はあるし、もし既に核家族化が完了しているとしても古き良き大家族制を懐かしむ気持ちがある。そのような理由から、インドでは大家族の物語が好んで描かれ、そして鑑賞されるのだと予想できる。

 この大家族制は特に犯罪映画で本領を発揮する。複雑に人間関係が絡み合う家族内での殺人事件は、インドではどの国よりも現実感を持って捉えられる。2020年7月31日からNetflixで配信されているヒンディー語映画「Raat Akeli Hai」も、大家族の中で起きた殺人事件を扱った犯罪映画である。

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Choked: Paisa Bolta Hai

現在、インドではインド人民党(BJP)のナレーンドラ・モーディー首相による長期政権が続いている。2014年に就任したモーディー首相はこれまでいくつかの思い切った政策を実行に移してきたが、その中でも全国民にもっとも衝撃を与えたのは2016年11月8日に突然発表した高額紙幣廃止である。当時のインドでは、1000ルピー、500ルピー、100ルピー、50ルピー、20ルピー、10ルピー、5ルピー、2ルピー、1ルピーの紙幣が流通していたが、この内、もっとも高額である1000ルピーと500ルピーの使用を禁止したのである。国民に与えられた猶予時間はたったの4時間であった。当然、インド経済は大混乱に陥った。

 2020年6月5日からNetflixで配信されているヒンディー語映画「Choked: Paisa Bolta Hai」は、モーディー首相による高額紙幣廃止の前後を背景としている。監督はヒンディー語映画界の異端児アヌラーグ・カシヤプ。キャストは、「Mirzya」(2016年)のサイヤーミ・ケールやマラヤーラム語映画俳優のローシャン・マシューなど。ヒンディー語映画界の著名な俳優はおらず、代わりに南インド映画界やマラーティー語映画界の人材を多用しており、ヒンディー語映画としては異色のキャスティングである。

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Ghost Stories

インド娯楽映画はよく「マサーラー映画」と呼ばれる。これは、その特徴をインド料理で使われるミックススパイス「ガラムマサーラー」になぞらえている。すなわち、笑いあり、涙あり、アクションあり、ロマンスあり、あらゆる娯楽要素が詰め込まれた映画のことである。敢えて言うならば、アクション映画、ロマンス映画、コメディー映画くらいの分類があったくらいだ。しかしながら、21世紀に入ってヒンディー語映画では、ハリウッド映画を模したジャンル別の映画作りが盛んとなった。そして、SF映画、スーパーヒーロー映画、アドベンチャー映画など、今までインド映画ではあまり作られて来なかったようなジャンルのインド映画化が進んだ。その中でも、もっともジャンルとして明確に確立したのがホラー映画であった。

 ただ、ホラー映画というジャンルを日本ほど職人技的に磨き上げた国はないだろう。それに比べるとインドのホラー映画は映像と効果音で観客を驚かす程度の幼稚なレベルに留まっており、「リング」(1998年)などの足下にも及ばない。それでも、インドの映画館でホラー映画を鑑賞すると、インド人観客はホラー映画をコメディー映画のように多人数でキャッキャと盛り上がりながら楽しんでいる様子が分かり、こういう観客がいるからこういうホラー映画になるのだ、と納得してしまう。

 2020年1月1日からNetflixで配信されているヒンディー語映画「Ghost Stories」は、「Bombay Talkies」(2013年)と「Lust Stories」(2018年)の続編に位置づけられるオムニバス形式の映画で、ゾーヤー・アクタル、アヌラーグ・カシヤプ、ディバーカル・バナルジー、カラン・ジョーハルという、ヒンディー語映画界を代表する4人の映画監督の短編によって構成されている。

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Lust Stories

ヒンディー語映画界には大別して大衆向け映画とインテリ層向け映画という2つの潮流があり、これらの境界が曖昧になって来たのが21世紀のヒンディー語映画の大きな流れだった。「Kuch Kuch Hota Hai」(1998年)や「Student of the Year」(2012年)のカラン・ジョーハルは大衆向け映画を象徴する監督の一人だったが、「Bombay Talkies」(2013年)というオムニバス形式の映画では、ディバーカル・バナルジー、アヌラーグ・カシヤプ、ゾーヤー・アクタルという3人の映画監督と共に、4本の短編映画からなる1本の作品を作り、世間を驚かせた。なぜならこの3人は、どちらかというとインテリ層向け映画のカテゴリーに入る監督であり、そこに「ボリウッド」の代表であるカランが入るのは場違いに思えたからだ。だが、カランはその前にアスペルガー症候群の男性を主人公にした「My Name Is Khan」(2010年)を撮っており、既に自分の作風を広げる挑戦をしていた。「Bombay Talkies」で彼が担当した「Ajeeb Dastaan Hai Yeh」は同性愛を主題としたオフビートな作品であり、インド映画100周年記念の企画映画だった「Bombay Talkies」は、ヒンディー語映画界の成熟と団結を思わせる正に記念碑的な作品となった。

 「Bombay Talkies」から5年後の2018年、再び上記4人の監督が集まり、同様にオムニバス形式の映画を作ったのが「Lust Stories」である。「インド映画」がテーマだった「Bombay Talkies」とは打って変わって、2018年6月15日に公開されたこの映画は、セックスや性愛がテーマの大人向け映画となった。Netflixで配信されているものを鑑賞した。

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