Raat Akeli Hai

インドでは「ジョイント・ファミリー」という形態の大家族制が残っている。兄弟が結婚後も両親と共に一ヶ所に住み、その子供たちが従兄弟というより実の兄弟のように暮らす。さらに、使用人を雇う文化もあるため、ひとつの家に住む人間の数はさらに多くなる。さすがに都市部では核家族化・少子化が進み、数世代の親族が共に暮らすことは減ったが、ジョイント・ファミリー的な結びつきは健在で、結婚式などの行事にはそれらの親族が一堂に会す。

 映画は社会や文化の鏡であり、インドの映画やTVドラマでも頻繁に大家族が登場する。実際に地域によってはまだ大家族制が残っていることもあるし、それが解体しつつあるとしても名残はあるし、もし既に核家族化が完了しているとしても古き良き大家族制を懐かしむ気持ちがある。そのような理由から、インドでは大家族の物語が好んで描かれ、そして鑑賞されるのだと予想できる。

 この大家族制は特に犯罪映画で本領を発揮する。複雑に人間関係が絡み合う家族内での殺人事件は、インドではどの国よりも現実感を持って捉えられる。2020年7月31日からNetflixで配信されているヒンディー語映画「Raat Akeli Hai」も、大家族の中で起きた殺人事件を扱った犯罪映画である。

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