Munna Michael

リティク・ローシャンの登場以降、ヒンディー語映画界でスターを目指す男優たちにとって踊りは必須のスキルとなった。それ以前もダンスで人気を博す男優はいたのだが、ダンスができないと男優になれないという訳でもなかった。だが、ずば抜けた身体能力を誇るリティクの影響で、最近の男優たちはほぼ全員と言っていいほどダンスに磨きを掛けて来ている。その中でもリティクに対抗できるほどしなやかな身体を持っているのがタイガー・シュロフである。「Heropanti」(2014年)でデビューして以来、その身体能力の高さを活かして、アクションとダンスで快進撃を続けている。2017年7月21日公開の「Munna Michael」も、タイガー・シュロフ主演のダンス・アクション映画である。

続きを読む

Happy Phirr Bhag Jayegi

あまり詳しいことは分からないのだが、中国でインド映画が人気となっているようである。そもそものきっかけは「3 Idiots」(2019年)が中国で公開され大ヒットしたことでブームに火が付いたようで、アーミル・カーン主演の映画を中心に公開されているようである。近年、日本で公開されるインド映画は中国の後追いであることが多い。そうなって来ると中国市場を念頭に置いたインド映画が作られるのは時間の問題である。かつて、「Chandni Chowk To China」(2009年)という中国ロケのヒンディー語映画があったがフロップに終わった。2018年8月24日公開の「Happy Phirr Bhag Jayegi」は、中国を舞台としたコメディー映画である。インドとパーキスターンを舞台としたコメディー映画「Happy Bhag Jayegi」(2016年)の続編である。

続きを読む

Happy Bhag Jayegi

インドとパーキスターンは宿敵同士というイメージも強いのだが、同じ文化を共有する血を分けた兄弟でもあり、両国の間には愛憎入り交じった複雑な感情が横たわっている。時には歩み寄り、時にはいがみ合うが、決して離れられないのが印パの宿命である。印パ関係が比較的良かった時期には、印パ親善を謳った映画が多く作られた。「Bajrangi Bhaijaan」(2016年)はその最たる例であるが、同年である2016年8月19日に公開された「Happy Bhag Jayegi」も、国境を越えたラブストーリーである。とは言っても、インド人とパーキスターン人のロマンスではない。

続きを読む

Manmarziyaan

アヌラーグ・カシヤプ監督は監督、プロデューサー、そして時に俳優として、2000年代以降のヒンディー語映画の進化を早めた最重要人物であるが、映画マニア受けするような作品を好んで作るため、必ずしも普遍的な人気のある監督ではない。業界内では「またアヌラーグが何かやってる」という感じの扱いであることは、「AK vs AK」(2020年)でも自虐的に表現されていた。2018年9月18日公開のヒンディー語映画「Manmarziyaan」は、カシヤプ監督が久々にド直球のロマンスに挑戦した作品である。だが、彼らしい斬新なストーリーであった。

続きを読む

Kedarnath

インド各地にヒンドゥー教の聖地があるが、ヒマーラヤ山脈に点在する聖地はアクセスの悪いものが多く、それらへの巡礼の旅は格別な意味を持っている。ウッタラーカンド州のケーダールナート寺院は、ヒマーラヤ山中にある聖地のひとつで、しかも最もアクセスが悪い聖地でもある。「マハーバーラタ」の主人公パーンダヴァ5兄弟によって建立されたとされる由緒あるシヴァ寺院で、ガンガー河の支流であるマンダーキニー河の上流に位置する。ケーダールナートまで自動車が通行可能な道路は通じておらず、麓の町ガウリークンドから6時間は登山をしなければならない。ケーダールナートを含むウッタラーカンド州は2013年6月中旬に集中豪雨に見舞われ、ケーダールナートを大洪水が襲った。州全体では5,000人以上が犠牲になったとされている。このときの出来事を背景にした、ヒンドゥー教徒の女性とイスラーム教徒の男性のロマンスが、ヒンディー語映画「Kedarnath」である。2018年12月7日に公開された。

続きを読む

Karwaan

多様な自然と文化を誇るインドは旅をしてこその国であり、ブッダの時代から多くの旅人たちに旅され、愛されて来た。インド映画界も自国のそんな魅力を存分に活用して来ており、風光明媚な光景で撮影を行ったり、旅情あふれる作品を生み出したりして来た。2018年8月3日公開のヒンディー語映画「Karwaan」も、そんな1本である。

続きを読む

Fanney Khan

多くの人が認める通り、インド映画の最大の特徴は歌と踊りである。そうであるが故に、歌や踊りがいかにストーリーと調和し、ストーリーを盛り立てているかは、重要な評価ポイントとなる。優れた歌や踊りでクライマックスを迎える映画は高評価だ。2018年8月3日公開のヒンディー語映画「Fanney Khan」は、歌に焦点を当てた作品である。ベルギー映画「Everybody’s Famous!」(2000年)のリメイクである。

続きを読む

The White Tiger (USA)

インドにおいて、中産階級以上の家庭が使用人を雇用するのは普通のことである。カースト制度の影響で仕事も細分化しており、運転手、料理人、掃除人、子守など、雇うとなったら複数の人を雇うことが多い。主人と使用人の関係について描いた「Sir」(2018年/邦題:あなたの名前を呼べたなら)という映画があったが、ストーリーはどうも現実的ではなかった。だが、イラン人監督ラーミーン・ベヘラーニーによる米国映画「The White Tiger」は、かなりインドの主従関係を正確に描いた映画である。2021年1月13日に劇場公開され、同年1月22日にNetflixで配信されるという、変わったリリースのされ方をしている。原作は、インド人作家アラヴィンド・アディガの同名小説(2008年)である。

続きを読む

Street Dancer 3D

インド映画というと「歌って踊って」というイメージが強いが、本当に歌って踊ってばかりの映画というのは実は珍しい。必ずストーリーがあって、そこに歌と踊りが混ぜ込まれる。だが、振付師出身レモ・デスーザ監督の「ABCD」シリーズは、本当にダンスが中心の映画だ。1作目の「ABCD: Any Body Can Dance」(2013年)は、プラブデーヴァ以外ほとんどスターが出演していなかったにもかかわらずヒットし、2作目の「ABCD 2」(2015年)ではプラブデーヴァに加えてヴァルン・ダワンとシュラッダー・カプールが出演して大ヒット。そして2020年1月24日に、前作と同じヴァルン・ダワンとシュラッダー・カプール主演で「Street Dancer 3D」が公開された。題名が変わったのは、プロダクションの変更に伴うタイトル使用権問題のためである。

続きを読む

The Tashkent Files

インド独立後最初の首相はジャワーハルラール・ネルーで、彼は1947年から1964年の死まで首相を務めた。彼の死後、2代目の首相に就任したのが、マハートマー・ガーンディーの忠実な弟子だったラール・バハードゥル・シャーストリーであった。彼は、白の革命(乳業改革)、緑の革命(農業改革)、核開発などを主導し、インドの発展の礎を築いた他、1965年の第二次印パ戦争でも勝利を収めた。だが、パーキスターンと平和条約を調印をするためにウズベキスタン(当時ソビエト連邦)のタシケントを訪れ、そこで客死した。一般に死因は心臓発作とされているが、果たしてそれは真実なのか。シャーストリーの死の真相に迫ったサスペンス映画がヒンディー語映画「The Tashkent Files」である。2019年4月19日に公開された。プロパガンダ映画との批判もある「The Accidental Prime Minister」(2019年)と同じく、2019年の下院総選挙の前に公開されており、その内容は国民会議派にとって非常に不利なものとなっている。

続きを読む