元々、インド映画は「マサーラー映画」の愛称通り、様々な娯楽要素を1本の映画に盛り込むのが特徴だった。だが、21世紀に入り、ヒンディー語映画をはじめとした各地のインド映画は、ハリウッド映画を模したジャンル立ての映画作りを行うようになった。スポーツ映画、スーパーヒーロー映画、SF映画、アドベンチャー映画などが模索される中で、インド映画において確実にジャンルとして確立したのがホラー映画であった。ただ、インドのホラー映画はホラーに徹し切れていない点や、ビジュアルや音声で強引に観客を怖がらせる点で、立ち後れている。多くのホラー映画が公開されているが、国際的な土俵で戦えるようなホラー映画は数少ない。
2018年3月2日公開のヒンディー語映画「Pari: Not A Fairy Tale」もホラー映画に分類されるが、アヌシュカー・シャルマーが主演でなかったら観ようとは思わなかったかもしれない。だが、結論から先に言えば、インドらしいエモーショナルなホラー映画で、インド製ホラー映画のひとつの完成形を見た気持ちになった。
