Simran

米国で、武器を持たずに銀行強盗をし、3回成功させたインド人女性がいる。サンディープ・カウルという名前で、チャンディーガル生まれ。7歳の頃、米国に移住し、看護婦として働いていた。21歳の頃にギャンブルにはまり、闇金融から多額の借金をしてしまったために、銀行強盗に手を染めた。4つ目の銀行に強盗に入ったときに警察に逮捕され、66ヶ月の懲役刑となった。彼女の半生を、フィクションを交えて映画化したのが、2017年9月15日公開のヒンディー語映画「Simran」である。

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Student of the Year 2

カラン・ジョーハルが2012年に送り出した学園ロマンス映画「Student of the Year」は、彼が自ら監督するにはあまりに若すぎ、かつ、ナンセンスな映画ではあったが、アーリヤー・バット、スィッダールト・マロートラー、ヴァルン・ダワンの3人をデビューさせた功績は否定できない。3人は2010年代を牽引する俳優に成長し、2020年代も快進撃が続きそうだ。その続編、「Student of the Year 2」は2019年5月10日に公開された。前作で舞台となったセント・テレサ校は変わらないが、監督とキャストは総入れ替えとなっており、しかも多数の新人俳優がデビューとなった。今後、「Student of the Year」シリーズは断続的に作られ、若い俳優たちの登竜門となるかもしれない。

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Blackmail

ヒンディー語映画には意外に良質のサスペンス映画群があり、日本でも「Kahaani」(2012年/女神は二度微笑む)や「Andhadhun」(2018年/盲目のメロディ〜インド式殺人狂騒曲〜)などが公開され、一定の評価を受けて来た。ただ、サスペンス映画は万国共通なところがあり、あまりインド色が出せないので、わざわざインド映画でサスペンス映画を観る必要はない、と考える一般人が多いであろうことが弱みと言えば弱みである。2018年4月6日公開の「Blackmail」も、ヒンディー語映画界が誇る良質のサスペンス映画の一本だ。興行的にも成功を収めた。

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Coolie No.1

ヒンディー語映画界で「コメディーの帝王」の名を恣にする監督の一人デーヴィッド・ダワンは、1990年代から2000年代にかけて、毎年のように映画を作り、多くのヒット作を飛ばして来た。2010年代に入り、かつてほどのペースで映画をリリースしなくなったが、まだまだ健在である。2020年12月25日にAmazon Prime Videoで配信開始となった「Coolie No.1」は、彼自身が1995年に作った同名コメディー映画のリメイクだ。1995年版ではゴーヴィンダーとカリシュマー・カプールが主演であったが、2020年版では、自身の息子ヴァルン・ダワンを主演に据え、ヒロインにサラー・アリー・カーンを起用している。

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Tere Bin Laden: Dead or Alive

まだウサーマ・ビン・ラーディンが生きていた頃、2010年に公開された「Tere Bin Laden」は、ビン・ラーディンのそっくりさんが繰り広げるドタバタ劇を描いた傑作コメディー映画であった。インド映画ながらパーキスターンが舞台という変わった映画でもあった。その映画の公開から約1年後の2011年5月2日にビン・ラーディンはパーキスターンのアボッターバードで米軍によって射殺された。その様子は、早くもハリウッド映画「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)で映画化された。2016年2月26日公開の「Tere Bin Laden: Dead or Alive」は、「Tere Bin Laden」の続編となる。もちろん、ビン・ラーディン死亡後に作られているため、ストーリーにもその内容が盛り込まれている。

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Pagglait

インド映画において結婚式シーンの出現率は非常に高い。ロマンス映画が結婚式でクライマックスを迎えるのはもはやお約束であるし、そうでなくてもストーリーを盛り上げたり歌や踊りを織り込んだりするためにサブキャラの結婚式を差し挟むこともある。よって、インド映画を観ていると、インドの結婚式に詳しくなる。一方、インドにおいて葬式がどう行われるかは、割とサラッと描かれることが多く、インド映画をいくら観ていてもあまり詳しくならない。また、インドに住んでいても、友人などから結婚式に招待されることは多いが、葬式に招待されることは稀である。よって、やはりインドの葬式について知見を深めることは難しい。2021年3月26日からNetflixで配信開始された「Pagglait」は、13日間の喪の期間を題材にした映画で、インドで人が亡くなるとどういう儀式が行われるのか、垣間見ることができる作品となっている。

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Chalk n Duster

インドで教育問題というと、まずは識字率の問題が取り沙汰されることが多かった。貧困層を中心に学校に通えない子どもが多く、読み書きのできない人が多く存在した。だが、最近、インドの識字率は急速に改善されており、75%に迫ろうとしている。先進国に比べたらまだ低い数値ではあるが、インド独立時にはたったの12%であったことを考えれば、劇的な改善と言って差し支えないだろう。識字率が上昇したことで、教育問題はより質や内容にシフトして行っており、ヒンディー語映画でも教育がテーマになることが多くなった。「3 Idiots」(2009年)は傑作中の傑作であるが、他にも「Chhichhore」(2019年)、「Super 30」(2019年)、「Chhalaang」(2020年)など、教育を主題にした映画が相次いで公開されている。2016年1月15日に公開された「Chalk n Duster」も、教育がテーマの映画のひとつである。

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Kaagaz

自分が自分であることの証明をどのようにすべきか、日本に住んでいる限り我々はあまり意識しない。日本には戸籍制度があり、生まれたときから書類に存在が記録されるため、自分の存在を証明するために苦労することはないからだ。自分が生きている限り、自分が生きていることを証明することはたやすいと考えがちである。だが、例えば一度海外に出てみると、我々の存在を保証するものは我々自身ではなく、パスポートやヴィザなどの書類となることに気付く。戸籍制度のない国では、出生証明書、卒業証明書、結婚証明書など、人生の節目で入手できる書類がその人の存在の証明となっていく。では、もし生きているにもかかわらず誤って死亡証明書が出てしまったら?その人は生きながらにして死人となってしまうのか?書類上、死人となってしまった人は、どのように生きているということを証明すればいいのか?そんなことを考えさせられる物語が、2021年1月7日からZee5で配信中のヒンディー語映画「Kaagaz(紙)」である。生きながらにして書類上死人とされてしまった実在の人物ラール・ビハーリーの半生をもとにした伝記映画である。

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Parmanu: The Story of Pokhran

インドは、第二次世界大戦中に原子爆弾を落とされた日本に対し非常に同情的な国である。毎年8月になると、国会では広島と長崎の犠牲者のために黙祷が捧げられる。その一方で、インドは核保有国である。中国やパーキスターンと対峙するため、核開発を国策として進めて来ており、世界からの非難を覚悟で核実験を成功させ、強引に核保有国の仲間入りを果たした。被爆国としての日本には深い同情を示してくれるが、核兵器に反対の国ではない。むしろ、核兵器でもって国防を達成する立場の国である。

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Tumhari Sulu

インド人女性は伝統的に、幼少時には父親に、結婚後は夫に、夫の死後は息子に依存する人生を送ることになっている。つまり、人生の全ての段階において男性家族の付随物であり、自立の余地がない。インド映画においても、女性キャラは主に娘か妻か母親に限られ、自立した女性は娼婦くらいで、好意的に描かれることは少なかった。だが、21世紀に入り、それもだいぶ変化した。その中で、主婦にも焦点が当てられるようになっている。ガウリー・シンデー監督の「English Vinglish」(2012年)は、英語のしゃべれない主婦がニューヨークで英語を学び始めるというプロットの映画で、主婦の尊厳をテーマとしていた。2017年11月17日公開の「Tumhari Sulu(君のスル)」も、主婦がラジオジョッキー(RJ)になるという、主婦をテーマにした映画である。

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