JNUの学位証明書原本

2014年3月1日から9日までインドを訪れたのだが、その主な目的は母校ジャワーハルラール・ネルー大学(JNU)から博士号学位証明書原本を受け取るためであった。

JNU

 他の大学がどのようになっているのか知らないのだが、JNUでは、論文を提出し、Viva Voce(口頭試問)が完了してから、1年後に証明書が発行されることになっている。それまでは、申請すればProvisional Certificate(仮証明書)がもらえるため、それが学位証明書の代わりとなる。僕のViva Voceは2013年1月29日に行われ、2014年2月に友人に確認してもらった時点で既に発行されていたため、一番気候のいい3月上旬でのインド行きを決めた。

 誰かの参考になるかもしれないので、学位証明書原本(以下、オリジナル・デグリー)を受け取るまでの手順をここに記しておこうと思う。例によっていくつか落とし穴がある。

 

 まず、オリジナル・デグリーの取得申請を行うために最も重要な書類は、Iカード、つまり学生証である。マスター(博士課程前期)のオリジナル・デグリーが欲しいならばマスター・コース時のIカードが必要になるし、Ph.D.(博士課程後期)のオリジナル・デグリーが欲しいならばPh.D.コース時のIカードが必要になる。JNUでは卒業時に学生証が回収されないのだが、それにはこんな理由があったのだ。これを紛失すると非常に厄介なことになるだろう。

 次に、外部図書館のメンバーシップを解約したことを証明する書類も必要となる。インドのいくつかの図書館では、所属する大学からの裏書きがなければメンバーシップを発行していない。大学での研究中に、そういう図書館の正規利用者になったのならば、その図書館から本を借りっぱなしでないことを証明しなければならない。インドでは図書館利用者が潜在的犯罪者扱いされているため、こんなことになってしまっている。該当の図書館に利用証やブックカードを返却し、解約を証明するスリップを入手する。大学側ではちゃんと記録を残しているので、知らぬ存ぜぬでは通用しない。ヒンディー語専攻の僕の場合は、サーヒティヤ・アカデミー図書館がそれに該当した。

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 また、寮に住んでいた場合、寮を退去するときに1枚の紙を受け取ったはずである。部屋を、何の問題もない状態で当局に返したことを証明する退去証明書である。これも必要となる。とても紛失しやすい書類のひとつであり、注意が必要だ。

 これらの書類が揃ったところで、ようやく手続きを開始することができる。

 まず向かう場所は、自分が所属していたスクールである。スクール事務所において、自分のオリジナル・デグリーが発行されているかどうか確認してもらおう。まだ発行されていなかったら、この後の努力が無駄になってしまうので、事前に必ず確認すべきである。

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 もし自分のオリジナル・デグリーが発行されていることが確認されたら、センターへ行ってNo Due Certificateフォームを受け取る。3枚必要となる。3枚に必要事項を記入し、再びセンターに赴いて、チェアパーソン(①)からサインをもらう。このときに前述の外部図書館の件が確認される。チェアパーソンのサインを入手することで、手続きがようやく回り始める。

 この後、②JNU図書館司書、③寮のワーデンまたはディーン・オブ・スチューデント、④スポーツ・オフィサー、⑤アシスタント・ファイナンス・オフィサー、⑥D.F.O.(フィールド・トリップ)、⑦チーフ・プロクターからサインをもらわなければならない。基本的に順番はどうでもいいが、最後の3つは、D.F.O.→チーフ・プロクター→アシスタント・ファイナンス・オフィサーの順にサインをもらわなければならないようだ。また、それぞれのオフィサーがいる場所を念のために書いておくと、司書は図書館、ワーデンは各寮、ディーン・オブ・スチューデントはディーン・オブ・スチューデント・オフィス、スポーツ・オフィサーはスタジアム、最後の3つは全てアドミニ・ブロックである。また、寮のワーデンからサインをもらう際に、前述の退去証明書が必要となる。

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 これらのサインが揃ったところで、最後に再びスクールを訪れ、スクール事務所でアドミニ・オフィサー(⑧)からサインをもらう。これら8つのサインが揃って初めて、晴れてオリジナル・デグリーが手に入るのである。

 既に発行されているものを受け取るだけなので、書類さえ揃っており、オフィサーのサインさえ集まれば、1日で受け取りが可能である。だが、関係オフィサーの内の1人でも欠けると、その人が来るまで待たなければならなくなる恐れがある。外国人やデリー以外に住む卒業生にとっては迷惑この上ないシステムだが、JNUで学位を取得した者ならば、このくらいの苦労は想定内で、苦労の内に入らないだろう。

 ちなみに、オリジナル・デグリー受け取り時にはお金は払わなくていい。論文提出時に支払ったお金の中に、オリジナル・デグリー発行手数料も含まれているという考え方のようである。アドミニ・ブロックの会計窓口は12時半までなので、もしサインが全て揃った後にお金を支払わないといけないとなると時間制限が生じるのだが、幸いそういうことはない。一方、Provisional Certificate発行の時はいくらかお金が要ったはずである。また、代理人に頼んでもオリジナル・デグリーはもらえるという話であるが、上記書類に加えてAuthorization Letter(委任状)は必須であろうし、他にも何か余分に必要な書類が出て来るかもしれない。そもそもIカードのような重要書類を託せるだけの信頼できる友人がいなければならないだろう。

 JNU卒業後も長らくオリジナル・デグリーを取りに行っていない、そもそもその存在すら知らなかった、という人が意外に多いのだが、書類を紛失しない内にもらうに越したことはない。また、もし上記の書類のひとつでも欠いていた場合どうしたらいいのかは、想像するだけでも蕁麻疹が出そうなので、僕には聞かないで欲しい。確実なのは、オリジナル・デグリー入手までかなりの長丁場になることだけだ。

 JNU卒業後、なるべく時間を空けずにキャンパスを再訪するメリットは他にもある。後輩や知り合いなどに会える確率が高くなることだ。僕と同じバッチの友人たちはほとんどキャンパスから消えてしまったが、それでもJNUキャンパスを歩いていると、5分ごとに誰か知っている人と顔を合わせる。彼らの存在が僕に、まだまだJNUは僕のことを忘れてはいない、という嬉しい感情を呼び起こしてくれた。JNUよ、永遠なれ!

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JNUの学位証明書原本」への1件のフィードバック

  1. 高倉君へ

    おめでとう。やっぱり博士になれたんだね。やはり頭の良い高倉君だなあと感心。僕の方は相変わらず平平凡々だけど世界情勢は新聞で気にしています。インドの首相が代わり果たして隣国と上手くやって行けるかどうか。ポールマッカートニーが来日公演を全てキャンセルになり、非常事態になっています。高倉君は東京ドームで観た記事読んだけど、僕もU2の時S席購入したけどグランド内では無くスタンドでした。返って迫力あって良かったけどね。98年POPMARTTUARの時です。懐かしいなあ。東京に住んでいるにも関わらずドームに入ったのはそれが最初で最後かな?高倉君はドームで観られただけでもポールに会えて良かったじゃないですか。インド映画館を日本に作りたいという野心なかなか夢があって良いですね!では。

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