【告知】インド映画の楽しみ方@ナマステ・インディア

年9月に東京の代々木公園で開催されているナマステ・インディア。「日本最大級のインド文化イベント」がキャッチフレーズだが、実は世界的にもトップクラスのインド文化イベントに成長したらしい。1993年から開催されているようだが、実は僕は一度も行ったことがない。インド留学前は存在を知らなかったし、インドに住み始めてからはこの時期日本に帰国することがなかったため、ずっと行きそびれていた。永久帰国後も、東京在住ではないので、気軽に足を伸ばせるイベントではない。

 今まで全く縁のなかったナマステ・インディアだが、今年はセミナーの講師として呼んでいただけたため、ようやく体験することができそうだ。「~できそうだ」と言うのは、一時デング熱の問題で開催が危ぶまれたからだ。現にナマステ・インディアより前に代々木公園で開催予定だった同様の異文化体験イベントが中止に追い込まれている。しかし、ナマステ・インディアの主催者はデング熱に屈することなく開催決行を決め、僕の講演も予定通り行われることになった。

 9月21日(日)の午後1時から、エア・インディア・セミナーハウスにて、「インド映画の楽しみ方」という題で講演を行う。

 

 この題は、セミナー企画者の日印協会が決めたものだが、僕は「歌物語としてのインド映画」という副題を付け加えた。インド映画で挿入される歌の歌詞について主に話すことで、インド映画の楽しみ方のひとつを提示したいと考えている。

 なお、このコマでは、例年アジア映画研究家の松岡環先生が最新インド映画を紹介していたようである。僕は松岡先生を引き継ぐ形でこのコマを担当することになったのだが、最新映画を紹介するという主旨までは踏襲しないつもりである。もし、そういう内容の講演が必要ならば、現地でリアルタイムに、かつコンスタントにインド映画を観ている日本人をナマステ・インディアの時期だけ日本に招聘して話してもらうのが一番であろう。僕にはもうその資格がない。

 僕が関心を持っているのは、インド映画に批判的な人々にインド映画の楽しさを知らしめることである。最終的には好みの話になってしまうので、簡単にどうこうできるとは思っていないのだが、なるべく理論的にその楽しさを定義づけ、少なくとも批判だけでも封じ込めることができたらと思っている。

 インド映画に批判的な人々がよく槍玉に上げるのが、インド映画の最大の特徴である歌と踊りである。インド映画が独自に発展させて来た歌と踊りを、映画の質を落とす要素として考える傾向にある。これではインド映画の世界への入り口でつまずいてしまっていることになる。踊りは視覚的な芸術であり、言語の壁なくある程度理解されるものだと言えるが、歌詞に関してはやはり語学力と文学の知識が要る。たとえ字幕があったとしても、正確な理解を観客に提供するには力不足である。歌詞の正確な理解抜きで踊りだけを観て、そのシーンを無駄で邪魔なものと見なすのは早計と言わざるを得ないし、インド映画が可哀想である。

 おそらく、歌詞の正しい理解の普及はインド映画が正当な評価を勝ち取るための第一歩となる。今回の講演では、インド映画を、日本の古典文学に存在した「歌物語」と対比しながら、物語の中に詩が入り込むことは決して異質なものではないということを明らかにし、インド映画が洗練し続けて来た、ストーリーと歌詞の親和性の妙を少しでも紹介できたらと考えている。

【追記】講演の内容は歌物語としてのインド映画に掲載。

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