Tagore Songs

アジア人で初めてのノーベル賞となるノーベル文学賞を受賞したラビーンドラナート・タゴールは多才な人物で、文学以外にも多くの芸術分野や社会活動で業績を残した。その中でも、彼が作詞作曲をした2,000曲以上の歌の数々は、現在までベンガル地方を中心に歌い継がれており、一般に「ラビーンドラ・サンギート」と呼ばれている。ベンガル地方中心なのは、タゴールがベンガル人だからであり、彼の詩作の中心はベンガル語だったからだ。ベンガル地方は、インドの西ベンガル州とバングラデシュに分かれている。

 そんなラビーンドラ・サンギートに魅せられた日本人、東京外国語大学ヒンディー語専攻卒の佐々木美佳監督によるドキュメンタリー映画「タゴール・ソングス」が現在「仮設の映画館」で公開中である。本来ならば4月18日より劇場一般公開のはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が発令されたことにより中止となり、代わりに前述のオンライン映画館で公開されている。

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Malang

ヒンディー語映画界において、音楽重視の映画作りをしている映画人の筆頭と言えば、Tシリーズのブーシャン・クマールである。Tシリーズは元々、音楽レーベルであり、後に映画制作にも乗り出した。ただ、彼自身はプロデューサー業に専念しており、音楽以外は映画監督に一任しているようである。今や、TシリーズのYouTubeチャンネルは世界一の登録者数を誇っている。

 Tシリーズはヒンディー語映画界で一大勢力を築き上げているバット一家と相性が良く、共に多くの名作を生みだした。最近では、「Aashiqui 2」(2013年)の大成功が記憶に新しい。この映画の監督はモーヒト・スーリーであるが、彼もバット一家の一員である。

 モーヒト・スーリー監督の最新作が2020年2月7日公開の「Malang」である。主演は「Aashiqui 2」と同じアーディティヤ・ロイ・カプールと、「Baaghi 2」(2018年)などのディシャー・パータニー。他にアニル・カプール、クナール・ケームー、ヴァトサル・シェート、シャード・ランダーワーなどが出演している。音楽はミトゥンやアンキト・ティワーリーなど、複数の音楽監督による。やはり音楽が非常に良い映画だった。Netflixで鑑賞した。

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Dear Zindagi

2010年代のヒンディー語映画の大きな特徴のひとつは、女性の躍進である。女性の活躍が、スクリーンの表と裏の両面で目立つようになり、しかもそれらが正当な評価を得るようになった。女性のプロデューサー、映画監督、音楽監督などが台頭する一方で、女性が中心のストーリーが盛んに作られ、そして興行的にも遜色ない成績を残すようになった。言い替えれば、「女性の女性による女性のための映画作り」が進んだのが2010年代のヒンディー語映画だったと言えよう。

 主婦の尊厳をテーマにしたヒンディー語映画「English Vinglish」(2012年)は、「マダム・イン・ニューヨーク」という邦題と共に日本でも公開され、好評を博した。やはりこの映画の監督も女性のガウリー・シンデーであった。彼女にとって「English Vinglish」がデビュー作だったのだが、第2作が2016年11月25日公開の「Dear Zindagi」である。やはり、女性主人公の映画であり、主に女性の視点から女性の人生を語った作品となっている。

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Pink

2012年12月にデリーで発生した集団強姦事件は世界中に報道され、インドは女性にとって危険だという認識が広まってしまった。だが、この事件をきっかけにインドでは女性に対する性暴力への対策が推進されたことも確かである。それまでは強姦の被害者は泣き寝入りをすることが多く、もし被害届を出したとしても、女性側に非が求められることがあり、不利になることが多かった。だが、ニルバヤー事件以降、性暴力の「被害者」は「生存者」とよりポジティブに言い替えられ、積極的に被害届が出されるようになり、法律的にも女性の権限が強化された。具体的には、最高刑を死刑とし、未成年による性犯罪も厳罰化し、裁判も迅速に行われるようになった。だが、その一方で、今度は女性が強化された法律を逆手に取って、男性に対する復讐に利用するようになり、こちらも社会問題化するようになった。

 2016年9月16日に公開されたヒンディー語映画「Pink」は、強姦を扱った、と言うよりは、より根本的な問題を扱った作品である。すなわち、まだインドの社会に根強く残っている、独立した女性に対する偏見である。もっと詳しく言えば、仕事をし、親元を離れて住み、西洋的な格好をし、ロックショーに参加し、飲酒をするような女性は、売春婦として扱われる、インドの封建主義的な価値観を突いている。

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The Sky Is Pink

感動的映画を作るための手軽な黄金の公式として、余命幾ばくない人物、もしくは難病を患った人物を主人公にする手法がある。ヒンディー語映画界でも昔から散々使い古されてきたフォーミラであり、21世紀に入ってからも、「Kal Ho Naa Ho」(2003年)、「Black」(2005年)、「Tare Zameen Par」(2007年)、「Ghajini」(2008年)、「My Name Is Khan」(2010年)、「Margarita with a Straw」(2014年)など、多くの映画が作られてきた。その多くは名作として記憶されている。

 インドで2019年10月11日に公開されたヒンディー語映画「The Sky Is Pink」は、重症複合免疫不全症 (SCID)という難病を患った少女を主人公にした、実話に基づいた映画である。監督はショーナーリー・ボース。前作「Margarita with a Straw」では、脳性麻痺(CP)を題材とし、各国の映画賞を受賞した経歴を持っている。主演はプリヤンカー・チョープラー、ファルハーン・アクタル、そして「Dangal」(2017年)や「Secret Superstar」(2018年)のザーイラー・ワースィム。Netflixで鑑賞した。

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Rangoon

21世紀に入り、ヒンディー語映画は劇的な変化を遂げてきたが、特に2010年代に入って顕著に観られるようになった変化のひとつが、女性を主人公とした映画の増加である。女性を主人公とした映画が増えただけならそこまで注目に値しないが、そのような映画がコンスタントに興行的成功を収めるようになったことがより重要だ。「Kahaani」(2012年)、「Queen」(2014年)、「Neerja」(2016年)など、様々な名作を例として挙げることができる。

 インド映画界において、最初期の女性スターの一人として知られているのがフィアレス・ナディアと呼ばれる英国人スタント女優である。スコットランド人軍人の父とギリシア人ベリーダンサーの母の間にオーストラリアで生まれ、幼少時に渡印し、ボンベイからペシャーワル、ペシャーワルからボンベイへと移住して、サーカス団を経て女優となった。英領インド時代には、インド人女性が映画で演技をすることがまだ一般的ではなく、外国人女性が起用されることが少なくなかった。ナディアはスタント映画で一躍有名となり、1930年代から40年代にかけて多くのヒット作を飛ばした。代表作は「Hunterwali」(1935年)である。そのフィアレス・ナディアを緩やかにモデルにしたヒンディー語映画「Rangoon」が2017年2月24日に公開された。Netflixで鑑賞した。

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Raees

ヒンディー語映画界で「3カーン」の一角を成すスター俳優シャールク・カーンは、元々「Baazigar」(1993年)や「Darr」(1993年)などのダークヒーローから身を立てた俳優である。その後、「Dilwale Dulhania Le Jayenge」(1995年)や「Kuch Kuch Hota Hai」(1998年)などのロマンス映画を経て人気を不動のものとし、「Kal Ho Naa Ho」(2003年)などの頃には彼の名はすっかりロマンス映画の代名詞となっていた。ただ、時々ダークヒーローを演じることがあり、「Don – The Chase Begins Again」(2006年)や「Happy New Year」(2014年)などの主演作がある。2017年公開のヒンディー語映画「Raees」も、そんなシャールク主演ダークヒーロー映画のひとつと言える。

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Jab Harry Met Sejal

ヒンディー語映画において「ロマンス映画の帝王」の名をほしいままにするイムティヤーズ・アリー監督が現在の地位を確立するきっかけとなったのが「Jab We Met」(2007年)という映画だった。その題名によく似た「Jab Harry Met Sejal」という映画が2017年に公開された。シャールク・カーンとアヌシュカー・シャルマーの共演第3作で、このカップリングのヒット率は非常に高いことからも個人的に注目していた。Netflixで鑑賞した。

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Love Aaj Kal (2020)

ヒンディー語映画界にロマンス映画の名手は多いが、その筆頭といえば、ここ10年以上はイムティヤーズ・アリー監督ということになる。「Jab We Met」(2007年)以来、彼はヒンディー語映画界においてロマンス映画の定義を塗り替え続けてきており、その功績は計り知れない。

 そのイムティヤーズ監督が2020年に「Love Aaj Kal」という新作を公開したと聞いたときにはその題名を二度見した。なぜなら彼は同じ題名の映画を2009年に既に発表しているからである。非常に珍しい例だが、同じ監督が同じ題名の映画を10年後に作ったのである。セルフ・リメイクと言える行為であるが、エッセンスだけ共通で、キャストや脚本は異なる。ちなみに、題名の意味は「恋愛の今昔」である。Netflixで鑑賞した。

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Saaho

インド映画の御三家と言えば、ヒンディー語映画、タミル語映画、テルグ語映画であり、これらの映画はそれぞれ日本でもヒット作を飛ばし、存在感を示してきた。特に「バーフバリ」シリーズで勢いに乗ったテルグ語映画が攻勢に出ており、「バーフバリ」シリーズで主演を演じたプラバースの最新作「Saaho」(2019年)が日本でも2020年3月27日に劇場一般公開となった。インド本国とのこのタイムラグのなさは特筆すべきである。おかしな邦題が付けられることの多いインド映画だが、「Saaho」の邦題は「サーホー」と、シンプルで好ましい。地元のユナイテッドシネマ豊橋18で鑑賞した。

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