Viceroy’s House

ンドン在住のグリンダル・チャッダー監督と言えば、カナダのトロント在住ディーパー・メヘター監督、米国ニューヨーク在住のミーラー・ナーイル監督と並んで、海外在住インド人女性監督三傑の一人に数えられる。それぞれ異なる作風を持っているのだが、個人的にもっとも評価していないのが残念ながらチャッダー監督だ。なぜそう思うかと言えば、メヘター作品とナーイル作品からはインド愛を感じる一方で、チャッダー作品はどちらかというとインドというルーツの克服をテーマにすることが多いからだ。彼女の出世作「Bend It Like Beckham」(2002年/邦題:「ベッカムに恋して」)がその典型である。インド好きとしては、なかなか素直に評価できないのが正直なところだ。

 2017年8月18日にインドで公開された、チャッダー監督の最新作「Viceroy’s House」が、日本で「英国総督 最後の家」の邦題で、2018年8月11日より一般公開される。マスコミ向け試写会で一足先に鑑賞することができたので、ここにその感想と解説を書く。ネタバレがあるので注意。

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Dangal

ンドのスポーツ業界ではクリケットが一強状態にあり、それがその他のスポーツの発展を阻害してきた。ただ、クリケットはオリンピックの種目になっておらず、国際的なスポーツ大会が開催されると、それ以外のスポーツにも一時的にスポットライトが当たる。しかしながら、インドは、世界第二の人口を擁するにもかかわらず、なかなか多くのメダルが取れない。それでも、五輪においてテニス、ウエイトリフティング、射撃、ボクシング、レスリング、バドミントンなどで徐々にメダルを獲得し、それらのスポーツの認知度も少しずつ上がっていった。また、2008年にクリケットのプロリーグであるインディアン・プレミア・リーグ(IPL)が設立されて以来、インドでは様々なスポーツのプロリーグが立ち上げられてきた。サッカー、カバッリー、バドミントン、異種格闘技などなどである。レスリングについてもプロ・レスリング・リーグが2015年に始まった。一昔前に比べれば、スポーツにもようやく多様性が出て来たと言えるだろう。インドでクリケットがもてはやされたのは、カースト制度と関係しているという説もある。カースト制度の考え方では、自分より低いカーストの者との接触、特に汗などに触れることを忌避する傾向にあり、接触の多いスポーツは不適である。クリケットは接触の少ないスポーツなので、インド人がすんなり受け入れやすかった。インドで伝統的に盛んな近代スポーツを見てみると、確かに人と人との接触が少ないスポーツが多い。ゴルフ、テニス、ポロ、射撃などなど。どれも貴族のスポーツである。それでも、最近はそういう考え方も薄まってきており、それがスポーツの多様化に貢献していると思われる。

 ヒンディー語映画の世界でもスポーツ映画がジャンルとして確立したのはそれほど古いことではない。長い間、「スポーツ映画はヒットしない」というジンクスが信じられて来ており、スポーツ映画は敬遠されてきた。それを打ち破ったのがアーミル・カーン主演の時代劇クリケット映画「Lagaan」(2001年)であった。この映画の大ヒット以降、徐々にスポーツ映画が作られるようになり、ヒット作も生まれるようになった。やはり題材となるスポーツはクリケットが多かったが、ホッケー、ボクシング、陸上競技など、それ以外のスポーツを題材にした映画も果敢に作られるようになった。そして2016年に立て続けに映画の題材となったスポーツがレスリングである。ひとつめはサルマーン・カーン主演「Sultan」(2016年)。そしてふたつめがアーミル・カーン主演「Dangal」である。奇しくも同年に公開されたこの2作品だが、前者が一度引退したレスラーの復活劇である一方、後者は引退したレスラーが娘を国際的レスラーに育て上げるまでを追った物語であり、アプローチの仕方が全然違っていて面白い。

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Kung Fu Yoga (China)

ンドと中国はアジアのみならず世界の二大国である。人口においては誰の目にも明らかな大国であるし、国際社会の中でもBRICsの構成国であるこの二国のプレゼンスはもはや無視できなくなって久しい。そんなこともあり、インドと中国、もしくはインド人と中国人は、対比されることも多いし、その二国間関係について、日本の外交戦略も含めて、あれこれ議論されることも多い。中国がチベットを占領して以来、両国は「隣国」となり、国境を接しているが、国境線を巡っては不一致がある。1962年には国境紛争から戦火を交えており、2017年には2ヶ月以上にわたって両軍がにらみ合う一触即発の危機があった。中国はインドを取り囲む南アジア諸国に積極的に投資をし懐柔しており、インドに対して包囲網を敷き圧力をかけ続けている。インドの仮想敵国というとまずパキスタンに目が行くが、インドが本当に軍事上脅威を感じているのは中国である。インド人の対中感情も概して良くない。だが、それでも両国の経済関係は年々強化されており、インドにとって中国はあらゆる意味で重要な国だ。

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Meri Pyaari Bindu

ンド映画と言えば最後は必ずハッピーエンドと言われた時代もあった。「Om Shanti Om」(2007年)では、「ハッピーでなければエンドではない。映画はまだ続く」という名台詞も生まれた。しかし、近年のヒンディー語映画はハッピーエンドを脱却しつつある。ロマンス映画について言えば、主役の男女が最後に結びつかないパターンも生まれて来ている。「Ek Main Aur Ekk Tu」(2012年)辺りが分水嶺になったと記憶している。

 2017年5月17日公開の「Meri Pyaari Bindu」も、ハッピーエンドを脱却したロマンス映画だ。監督は新人のアクシャイ・ロイ。プロデューサーはアーディティヤ・チョープラー。音楽はサチン・ジガル。メインキャストは、アーユーシュマン・クラーナーとパリニーティ・チョープラー。

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Ae Dil Hai Mushkil

ラン・ジョーハルは「Kuch Kuch Hota Hai」(1998年)で監督デビューした後、常にヒンディー語娯楽映画の中心にいた。しかし、業界内におけるその圧倒的な存在感とは裏腹に、彼の監督としての才能には常々疑問を感じていた。シャールク・カーンをはじめとしたオールスターキャストの王道的な大予算型娯楽映画をまとめ上げる力は抜きん出ていたが、デビュー作からなまじっか大成功を収めてしまったためか、繊細な感情の表出や緻密な展開の積み重ねから来る味わい深さに欠けるところがあった。当時としては異例の不倫を扱った映画「Kabhi Alvida Naa Kehna」(2006年)も生焼けの印象を受けた。彼が初めてその殻を破ることに挑戦したのは「My Name Is Khan」(2010年)であったが、病気を使って安易な感動を呼び起こそうというあざとさが鼻についたものだった。「Student of the Year」(2012年)に至っては、なぜ彼がわざわざこのタイミングで自らメガホンを取ってこのような作品を撮ったのか、理解に苦しんだ。

 その一方、2016年10月28日、ディーワーリー週に公開されたカラン・ジョーハル監督の最新作「Ae Dil Hai Mushkil」は、彼の監督としての成長を感じた作品であった。

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Sultan

2008年にクリケットのインディアン・プレミア・リーグ(IPL)が始まって以来、インドでは様々な「リーグ」が雨後の筍のように生まれている。2012年開始のスーパー・ファイト・リーグ(SFL)、2013年開始のプレミア・バドミントン・リーグ(PBL)、2014年開始のプロ・カバッリー・リーグ(PKL)、2017年開始のスーパー・ボクシング・リーグ(SBL)などなどである。日本でJリーグ(1991年)やK-1(1993年)が始まり盛況だった頃と重なる。クリケットが他のスポーツを圧迫しているインドにおいて、果たしてこれらクリケット以外のリーグが全て十分な収益を上げているのか分からないが、少なくとも2016年7月6日公開のヒンディー語映画「Sultan」では、そうでもなさそうなことが示唆されていた。

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Udta Punjab

2017年のインディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ)でオープニング作品に選ばれた映画である。邦題は「フライング・パンジャーブ」となった。原題の「Udta」は「飛ぶ」という意味のヒンディー語の動詞「Udna(ウルナー)」の現在分詞を形容詞的に使って直後の名詞「Punjab(パンジャーブ、州の名前)」を形容したもので、「フライング」はその直訳となる。

 実はこの映画の字幕翻訳は僕が行った。邦題について、実は別のものを提案したのだが、却下され、無難なものとなった。

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Lion (Australia)

本では「Lion/ライオン 25年目のただいま」という邦題で劇場一般公開されているオーストラリア映画「Lion」。インドの貧しい家庭に生まれ、5歳の頃に生母と離れ離れになり、紆余曲折を経てオーストラリアで育てられたインド人男性が、Google Earthを駆使して故郷を見つけ出し、25年振りに生母と再会を果たすという物語である。実話に基づいており、その当人サルー・ブライアリーが著した伝記「A Long Way Home」(2013年)を原作としている。

Lion

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Dukhtar (Pakistan)

時期、日本ではインド映画が年に数本、一般公開されるという盛り上がりを見せたことがあったが、そのペースが定着するほどは続かず、最近はだいぶ沈静化しまった。昨年のめぼしい一般公開作品はヒンディー語映画「PK」(2014年)くらいである。むしろ、今まであまり一般公開がなかった、隣国パーキスターンの映画の方に注目が集まっているように見える。昨年日本で公開された「ソング・オブ・ラホール」(2015年)に続き、「娘よ」(2014年/原題:Dukhtar)が一般公開された。

 「Dukhtar」とは「娘」という意味で、英語の「daughter」と同語源の言葉である。監督は女性で新人のアフィヤー・ナサニエル。クエッタ生まれで現在はニューヨーク在住とのことである。キャストは、サミヤー・ムムターズ、モヒブ・ミルザー、サリーハー・アーリフ、アースィフ・ハーン、アジャブ・グル、サミーナー・アハマド、アドナーン・シャー、アブドゥッラー・ジャーン、オマイル・ラーナーなど。

Dukhtar

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Hate Story 2

ンディー語映画界には、執拗にコテコテのB級映画を作り続けている一団がいる。そういう映画を漏れなく観ているとだんだん食傷気味になってくるのだが、たまにヒットを飛ばすのであなどれない。「Hate Story」シリーズは、そんなB級映画の典型だ。プロデューサーに名を連ねるヴィクラム・バットは、正にB級映画の雄である。第1作が公開されたのは2012年4月20日。このときはインドに住んでいたのだが、どうせB級映画だろうと思って観に行かなかった。そうしたら、これまでに3作が作られるほど一定の支持を集めるシリーズになってしまった。今回、「Hate Story 2」を鑑賞するにあたって、YouTubeで公式に公開されている「Hate Story」も併せてチェックした。第1作は、ジャーナリストの若い女性が実業家の御曹司に騙されて徹底的に尊厳を奪われ、娼婦に身を落としてまでして復讐に乗り出すというエロティック・サスペンスであった。

 「Hate Story 2」は2014年7月18日公開。前作の監督はヴィヴェーク・アグニホートリーだったが、今作の監督は新人のヴィシャール・パーンディヤーにバトンタッチしている。パーンディヤー監督は才能を認められて「Hate Story 3」の監督にも抜擢されている。音楽はミトゥン、ミート・ブロス・アンジャーン、アルコ・プラヴォ・ムカルジー、ラシード・カーン。作詞は、アズィーズ・カーイスィー、アルコ・プラヴォ・ムカルジー、クマール、タンヴィール・ガーズィー、ミトゥン。

Hate Story 2

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