Baaghi 2

2016年に公開されたヒンディー語アクション映画「Baaghi」は、カラリパヤットゥを主題にしたマーシャルアーツ映画であり、主演タイガー・シュロフの鮮やかな身のこなしが見所の爽やかな娯楽活劇であった。興行的にもスマッシュヒットとなり、気を良くしたプロデューサー、サージド・ナーディヤードワーラーは続編の製作を決意した。「Baaghi 2」は2018年3月30日に公開となった。ただ、インド映画のシリーズ物は、国民性なのか、それとも諸事情があるのか、ストーリー上の連続性を持たせずに続編を作ることが多く、「Baaghi」シリーズについても、主演タイガー・シュロフと主役の名前くらいが受け継がれているだけで、「Baaghi 2」は前作とはほぼ別物の映画となっている。




 監督は、前作がサッビール・カーンだったのに対し、「Baaghi 2」ではアハマド・カーンに交替している。アハマドは元々コレオグラファーであり、監督としては「Lakeer」(2004年)や「Fool & Final」(2007年)などを撮っている。主演はタイガー・シュロフで変わらずだが、ヒロインがシュラッダー・カプールからディシャー・パータニーになった。他に、マノージ・バージペーイー、ランディープ・フッダー、ディーパク・ドーブリヤール、プラティーク・バッバルなど、脇役にいい俳優が揃っている。さらに、ジャクリーン・フェルナンデスがアイテムガール出演し、「Ek Do Teen」のリミックスを踊っている。意外にも、前作でグルスワーミーを演じたシーフージー・シャウリヤ・バールドワージが、今回も別の端役で登場している。

 インド陸軍特殊部隊のロニー(タイガー・シュロフ)は、昔の恋人ネーハー(ディシャー・パータニー)の呼びかけに応じ、休暇をもらって駐屯地のカシュミールから故郷のゴアに帰って来た。ネーハーは、2ヶ月前に誘拐された娘リヤーを探していたが、誰にも助けてもらえず、ロニーに助けを求めたのだった。ロニーは捜査を始めるが、周囲の人々はリヤーのことを全く知らなかった。ネーハーの夫シェーカルの弟サニー(プラティーク・バッバル)が怪しかったが、シェーカルに聞いたところ、娘など存在せず、ネーハーのPTSDだと明かす。

 ロニーはネーハーに対し、リヤーは存在しないという事実を突き付ける。だが、それを聞いたネーハーは絶望して上階から飛び降り、死んでしまう。リヤーの存在を確信したロニーは、再びサニーに詰め寄るが、ロニーとサニーは警察に逮捕され、シェールギル警視副総監(マノージ・バージペーイー)に殺されてしまう。サニーこそがリヤーの居所を知っていると考えていたロニーは、手がかりを失ってしまうが、中古車屋ウスマーン(ディーパク・ドーブリヤール)の証言から、手がかりが見えて来る。このような物語である。

 前作はマーシャルアーツ映画だったが、今回は武術というよりもワンマンアーミーの強さを持つコマンドーの主人公が八面六臂の大活躍をするコマンドー映画である。アクションシーンだけを見れば、ハリウッドの「ランボー」(1982年)や「コマンドー」(1985年)に近い。終盤、ロニーがジャングルの中で敵を次から次へとなぎ倒すシーンがある。だが、意外に銃火器を使って敵を倒すシーンは少なく、あくまで肉弾戦で敵と戦っており、その辺りは前作のイメージを大事にしたのかもしれない。さらに、アクションシーン以外では、サイコスリラーの要素が強かった。ネーハーは娘のリヤーが誘拐されたと言い、周囲の人々はリヤーなど存在しないと言う。一体、どちらが真実なのか、そしてもしリヤーが存在するならば、なぜ彼女がさらわれたのか。この辺りがサスペンスとなって、映画終盤まで引っ張られる。「Baaghi 2」自体はテルグ語映画「Kshanam」(2016年)のリメイクとされている。

 タイガー・シュロフが演じたランヴィール・プラタープ・スィン、通称ロニーは、前作のロニーと名前は共通しているものの、全く別のキャラである。名前が共通していることと、一騎当千の強さを誇ること以外、前作から踏襲しているものはない。ロニーの上官ランジートを演じていたのは、シーフージー・シャウリヤ・バールドワージ。前作でロニーの師匠グルスワーミーを演じていた俳優で、敢えて付け加えるならば、彼の存在が続編性を少しだけ加えている。

 前作のヒロインはシュラッダー・カプールだったが、今回、彼女は全く出て来ない。ロニーが別のキャラであるため、ヒロインも交替という訳だ。「Baaghi 2」のヒロインはディシャー・パータニー。映画のサイコスリラー要素の中心であり、重要な役であったが、途中で自殺してしまう異例の展開だ。

 基本的にはタイガー・シュロフのアクションを楽しむ映画であるが、脇役陣にいい俳優が揃っており、彼らの演技も見所になっていた。マノージ・バージペーイー、ディーパク・ドーブリヤール、ランディープ・フッダーなど、要所要所に要人が配置された布陣であった。プラティーク・バッバルも今回はぶっ飛んだ役を嬉々として演じていた。

 コレオグラファーが撮った映画であり、ダンスシーンには力が入っていた。「Mundiyan」や「Ek Do Teen」など、過去の名曲のリメイクが特に秀逸で、タイガー・シュロフ、ディシャー・パータニー、そしてアイテムガールのジャクリーン・フェルナンデスがダンスで魅せていた。アハマド・カーンの振り付けは、男性的なものが多い印象で、ディシャーやジャクリーンにもマスラオ振りなダンスを踊らせている。

 「Baaghi 2」は、2016年の「Baaghi」の続編だが、キャラクターやストーリーに共通性はほとんどない。タイガー・シュロフ主演のアクション映画という点がほぼ唯一の共通点と言える。監督やヒロインも前作から交代している。また、マーシャルアーツ映画だった前作に対し、今作はコマンドー映画と化している。それに加え、サイコスリラーの要素もある。ただ、タイガー・シュロフのアクションは引き続き健在であり、難しいことを考えずに楽しめる映画であることに変わりはない。

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