Pyaar Ka Punchnama 2

性が女性に振り回されるという展開のロマンス映画は、ヒンディー語映画界において、最近全く稀ではなくなった。むしろ、そういう映画の方が多いくらいだ。そういう傾向が強くなり出した最初期の映画としては「Jab We Met」(2007年)が思い付くし、シリーズ化している映画に限っても、「Manu Weds Tanu」シリーズや「Ishqiyaa」シリーズが思い浮かぶ。極めつけは、逆転夫婦を描いた「Ki & Ka」(2016年)だ。インドにおいても、時代は「強い女性と弱い男性」に移行しつつある。

 男性が女性に振り回されるパターンの映画のひとつに、2011年に公開された映画「Pyaar Ka Punchnama」があった。仲良し3人組の若い男性たちが、ほぼ同時期にそれぞれ女性と付き合うようになるが、三者三様の振り回され方をし、最後にはほぼ同時期に別れるという展開の映画だ。「Pyaar Ka Punchnama」とは「恋愛の検視報告書」。無名の新人監督とキャストによる低予算映画だったが、口コミで話題になり、興行的にもなかなか健闘した。

 その続編が2015年10月16日に公開された。題名はストレートに「Pyaar Ka Punchnama 2」。監督は前作と変わらずラヴ・ランジャン。プロデューサーのアビシェーク・パータクも変わっていない。作曲はシャリーブ・トーシーとヒテーシュ・ソーニク、作詞はクマール、アクラム・サーブリー、ダーニシュ・サーブリー、ヒテーシュ・ソーニク、ラヴ・ランジャン。

Pyaar Ka Punchnama 2

 

 ストーリー上のつながりはないタイプの続編ではあるが、主演級キャストは多くが続投している。両作品に出演の俳優から紹介すると、カールティク・アーリヤン、ヌシュラト・バルーチャー、ソーナーリー・セヘガル、イシター・ラージ・シャルマー。このような続編としては珍しく、女優3人がそのまま続投している形。一方、男優はカールティク・アーリヤン(前作ではカールティク・ティワーリーの名前でクレジット)一人のみが共通で、今回オームカル・カプールとサニー・スィンが新しく出演している。二人とも子役俳優としてのキャリアは過去にあるが、本作が本格デビュー作となる。上記6人の若い俳優の他、シャラト・サクセーナーが出演している。

あらすじ

 デリーのフラットに同居する仲良し3人組、アンシュル・シャルマー(カールティク・アーリヤン)、タルン・タークル(オームカル・カプール)、スィッダールト(サニー・スィン)は、それぞれルチカー(ヌシュラト・バルーチャー)、クスム(ソーナーリー・セヘガル)、スプリヤー(イシター・ラージ・シャルマー)と付き合い出す。ところが、それぞれ問題のある女性たちだった。

 ルチカーはアンシュルに対する支配欲が強い割には、幼馴染みのサニーを家に招き入れて一緒に住み出すという、アンシュルには耐えがたいことをし出す。クスムはタルンにうるさく節約を強要する割には、自分のためには金を使わせてばかりいた。スィッダールトは、スプリヤーの両親にいいようにこき使われる割には、彼女の恋人としていつまでも紹介はしてもらえず、しかもスプリヤーのお見合いに同席させられるという屈辱に耐えなければならなかった。

 ルチカー、クスム、スプリヤーはそれぞれに相性が合わず、さらに、3組のカップルの仲も次第に悪化して行く。アンシュル、タルン、スィッダールトは、関係改善のためにそれぞれの恋人を誘ってタイへ行くが、そこでも大した進展はなかった。

 アンシュルは、ルチカーが友人たちと自分の悪口を言い合っているのを知ってしまう。タルンは、自分の貯金がクスムによって食いつぶされたことに気付く。そしてスィッダールトは、スプリヤーの両親に彼女と結婚したいと直談判したばっかりに、警察に逮捕される羽目に陥る。

 3人はそれぞれ付き合うことに疲れ果て、恋人と別れる。そして、真の愛は母親から得られることに気付くのだった。

解説

 前作は「No Girlfriend No Tension(彼女がいなければ心配事はない)」の哲学の上で展開する映画だったが、「Pyaar Ka Punchnama 2」も、全くそのままの内容の映画だった。今回の副題は「Love is injurious to health(恋愛は健康に有害)」。タバコや酒によく使われる警告文をもじったものだ。敢えて前作と違っていた点を挙げるならば、それは、主人公の3人組が付き合うことになる女性たちの特徴である。

 前作で登場した女性3人はそれぞれ、高ビーな性格、遠距離恋愛中の彼氏との二股、ストーカーと化した元彼の存在という問題を抱えていた。今作では少し趣を変え、幼馴染みと仲良すぎる女性、両親に恋人を紹介できない女性、金の計算にうるさい女性が登場し、主人公3人を悩ませる。

 結末も前作とほとんど同じだ。問題ある女性たちとの恋愛に疲れた3人の男たちは、彼女と別れ、解放感を味わう。今後、この映画がさらにシリーズ化して行くならば、延々とこのパターンを踏襲して行くのだろう。変えればいいのは、3人の主人公が付き合うことになる女性たちの性格や特徴だけだ。そのアイデアが枯渇しない限り、シリーズとして続いて行きそうだ。

 また、前作でカールティクが数分間に渡って女に対する不平不満を独白するシーンがあったが、それすらも本作でリピートされていた。これもお約束ネタとなって行きそうだ。

 基本的に、男同士で「こういう女、いるよな」と言い合って楽しむ映画のように感じたが、意外にインド人受けは良かったようで、興行的にはスーパーヒットの評価を得ている。ただ、ヒットは相対的なものであり、一般的なヒットの基準である10億ルピーには達していない。低予算で作られていることが、制作費回収を容易にしたのだろうが、それだけでなく、女性からの支持も得られたからこそ、ヒットまで漕ぎ着けたということだろうか。

 はっきり言って、ストーリーは女性を蔑むような内容で、決して女性観客が観ていて素直に楽しめるものではないし、台詞に下ネタが多いためか、ビープ音でのカットが頻繁に起こっていたことも、この映画が基本的に男性向けであることを示していた。少なくとも家族向けの映画ではない。それでも、筋が単純であるし、若者受けするような台詞回しが多用されているしで、カップルや若者の集団がワイワイと楽しむような目的で観客が集まったのだろうと想像できる。

 普通に考えたら、ここまで恋人の横暴を堪え忍ぶインド人の男はいない訳で、彼らが最終的に別れる決断をしたのも、現実的には遅すぎると言わざるを得ない。そこは単純な不満点だったが、ふと、恋人と別れることで解放感を感じつつ終わるロマンス映画のパターンがヒンディー語映画界において徐々に出来つつあるのも感じる。前作「Pyaar Ka Punchnama」もそうであるが、それと同年に公開された「Zindagi Na Milegi  Dobara」(2011年)も、思い切ってフィアンセと別れることで映画が終わっていた。これは、映画中で女性が強くなるのに伴い、男性側からのささやかな抵抗が始まっていると捉えることも可能であろうか。

 「Pyaar Ka Punchnama 2」は、2011年に公開された前作の内容をそのまま踏襲した続編。女優3名が引き続き出演し、再び男たちを手玉に取る。インド映画でもここまで男が弱くなったか、と実感させられる映画である。インドではスーパーヒットとなっているし、つまらなくはない。だが、前作からのステップアップはほとんど感じられず、前作の単純な焼き直しと言わざるを得ないのは、続編映画としては致命的だ。

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