Why Cheat India

人口13億人、25歳以下が人口の半分を占めるインドにおいて、受験戦争は熾烈を極めている。どの大学のどの学部に入学するかがその後の人生を決定するため、受験生は死に物狂いで勉強をする。また、親たちの教育熱を受けて塾産業も大いに発達している。特にラージャスターン州のコーターは多数の進学塾が集まる街として知られ、多くの受験生が寄宿しながら勉強に励んでいる。このような状態であるため、受験における不正も横行している。2019年1月18日公開のヒンディー語映画「Why Cheat India」は、受験不正ビジネスを題材にしている。興行的には大失敗に終わったが、インドの教育をテーマにした映画としては外せない作品である。




 「Why Cheat India」の監督は「Gulaab Gang」(2014年)などのソウミク・セーン。主演はイムラーン・ハーシュミー。他にシュレーヤー・ダンワンタリーやスニグダディープ・チャタルジーなどが出演しているが、多くは無名の俳優である。

 ラーケーシュ(イムラーン・ハーシュミー)は、工科大学に合格したサットゥー(スニグダディープ・チャタルジー)を替え玉に使って富裕層の子どもの受験をさせ、巨額の利益を得ていた。サットゥーも大金を手にして人が変わり、薬物に手を出して大学を停学処分になってしまう。ラーケーシュはサットゥーをカタールに送って就職させる。その後もラーケーシュは同じような優秀な替え玉受験生を作って不正を行わせていたが、警察に逮捕されてしまう。

 それでもめげないラーケーシュは、今度はMBAの試験の不正を思い付く。彼は試験問題を入手し、金を払った相手に答えを教えることにした。だが、サットゥーの姉ヌプール(シュレーヤー・ダンワンタリー)の罠にはまり、ラーケーシュは再度逮捕される。こんな物語である。

 編集が悪く、ストーリーを見失う場面があったし、盛り上がりに欠ける展開であった。ラストも唐突すぎて置いて行かれた気分だ。だが、この映画が主張しようとしていることはよく分かった。インドでいかに不正が横行しており、公平な受験が行われていないか、その一端を垣間見ることができた。映画の最後には、以下のような事実が示される。

  • 50%以上の学生が不正を行ってインド工科大学(IIT)ボンベイ校に入学する。(2014年)
  • インドでは1時間に1人の学生が自殺する。(2018年)
  • 工学部卒業生のたった7%が雇用に値する。(2016年)
  • インドの学習塾セクターは64億ドル(4,500億ルピー)の規模だと推定された。(2008年)
  • インドには、297校の偽工科大学と23校の偽大学が存在する。(2017年)
  • 65%の親は年収の半分以上を子どもの教育と課外活動に消費する。(2013年)

 これらの全てが映画の中に盛り込まれていた訳ではないが、インドの教育セクターがまだまだ多くの問題を抱えていることが分かる。

 「Why Cheat India」は、インドの受験で起こっている不正問題を、不正を起こしている本人の視点から描いた作品である。映画としての質は高くないが、インドの教育問題を突いた作品のひとつとして、記憶に留める価値はある。

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