カタカナ

 「これでインディア」時代に確立したインド固有名詞などのカタカナ表記法を、若干の修正を加えて再アップ。今後はこちらを更新して行く。現在のところ、南アジアの固有名詞については、無知なジャーナリストや無頓着な学者などの影響で好き勝手なカタカナ表記が横行してしまっているが、アルカカットが確立したのは、カタカナ表記原則を固定し、それに従ってカタカナ表記を決めて行く、という大原則である。また、「カタカナ表記の鬼」と称して、新聞、ネットニュース、書籍などで、インドに関するカタカナ表記に誤りなどを見掛けた際に、ここで容赦なく報告して行く。

1-1 短母音と長母音の区別は、ヒンディー語表記に忠実に表記する。

  • Bharat भारत→バラト(国名)
  • Mathura मथुरा→マトゥラ(地名)
  • Tata टाटा→タ(社名)

1-2 日本語にない音は区別しない。例えば、有気音(「क」に対する「ख」など)、反舌音(「ta त」に対する「ta ट」など)、「ra la ra(da) rha(dha) र ल ड़ ढ़」を区別しない。

  • Dudh दूध→ドゥ(普通名詞:ミルク)
  • Tirthraj तीर्थराज→ティールラージ(地名)
  • Tatparganj तटपरगंज→タトパルガンジ(地名)
  • Ladaai लड़ाई→ララーイー(普通名詞:争い)

1-3 鼻母音「ं ँ」は全て「ン」で表記する。

  • Mangetar मँगेतर→マゲータル(普通名詞:許婚)
  • Gandhi गाँधी→ガーディー(人名)

1-4(カタカナ表記対応表)デーヴナーグリー文字(ヒンディー文字)とカタカナ表記の基本的対応は以下の表の通り。

 ○母音

 अ ア  इ イ  उ ウ  ऋ リ ए エー ओ オー
 आ アー ई イー ऊ ウー    ऐ アイ औ アウ

 ○子音

     ि  ु  ृ   े   ो   ा ‍  ी   ू   ‍‍ै   ौ   ्
 क क़ ख ख़カ キ ク クリ ケー コー カー キー クー カイ カウ ク
 ग घガ ギ グ グリ ゲー ゴー ガー ギー グー ガイ ガウ グ
 च छチャ チ チュ × チェー チョー チャー チー チュー チャイ チャウ チュ
 ज झジャ ジ ジュ × ジェー ジョー ジャー ジー ジュー ジェー ジャウ ジ
 ज़ザ ズィ ズ × ゼー ゾー ザー ズィー ズー ザイ ザウ ズ
 ट ठ त थタ ティ トゥ トリ テー トー ター ティー トゥー タイ タウ ト
 ड ढ द धダ ディ ドゥ ドリ デー ドー ダー ディー ドゥー ダイ ダウ ド
 ण नナ ニ ヌ ヌリ ネー ノー ナー ニー ヌー ナイ ナウ ン
 प फパ ピ プ プリ ペー ポー パー ピー プー パイ パウ プ
 फ़ファ フィ フ × フェー フォー ファー フィー フー ファイ ファウ フ
 ब भバ ビ ブ ブリ べー ボー バー ビー ブー バイ バウ ブ
 मマ ミ ム ムリ メー モー マー ミー ムー マイ マウ ム
 यヤ イ ユ × イェー ヨー ヤー イー ユー ヤイ ヤウ ★
 र ल ड़ ढ़ラ リ ル × レー ロー ラー リー ルー ライ ラウ ル
 वヴァ ヴィ ヴ ヴリ ヴェー ヴォー ヴァー ヴィー ヴー ヴァイ ヴァウ ★
ワ ウィ ウ × ウェー ウォー ワー ウィー ウー ワイ ワウ ★
 श षシャ シ シュ シュリ シェー ショー シャー シー シュー シャイ シャウ シュ
 सサ スィ ス スリ セー ソー サー スィー スー サイ サウ ス
 हハ ヒ フ フリ ヘー ホー ハー ヒー フー ハイ ハウ ハ

 ○結合子音

     ि  ु  े  ो  ा  ी  ू  ‍‍ै  ौ  ्
 क्षクシャ クシ クシュ クシェー クショー クシャー クシー クシュー クシャイ クシャウ クシュ
 ज्ञギャ × × ギェー ギョー ギャー × × × × ×
 द्वドワー ドイ ドウ ドエー × ドワー ドイー × ドエイ × ドワ
 श्रシュラ シュリ シュル シュレー シュロー シュラー シュリー シュルー × × シュラ

2-1 カタカナ表記の際、複数の候補が出てきた場合はヒンディー語表記至上主義を適用し、英語表記はヒンディー語の表記や読みに揺れが見られる場合のみ、補助・参照のために利用する。潜在母音の規則13-1や例外規則16-1,
16-2も参照。

  • Srinagar श्रीनगर→シュリーナガル(地名;ヒンディー語基準)
  • Allahabad इलाहाबाद→イラーハーバード(地名;ヒンディー語基準)
  • Gwalior ग्वालियर→グワーリヤル(地名;ヒンディー語基準)
  • Dharamshala धर्मशाला/धरमशाला→ダラムシャーラー(地名;英語参照)

2-2 ベンガルの人名や地名など、ヒンディー語表記と英語アルファベット表記でズレがある場合があるが、ヒンディー語表記に合わせる。ただし、潜在母音の規則13-2や例外規則16-1も参照。

  • Benarjee बनर्जी→バナルジー(人名) ×ベナルジー
  • Mukherjee मुखर्जी→ムカルジー(人名) ×ムケルジー

2-3 パンジャーブ、グジャラート、オリッサ、マハーラーシュトラの人名や地名など、ヒンディー語表記と現地語表記でズレがある場合があるが、ヒンディー語表記に合わせる。

  • Sonepur सोनापुर ସୋନପୁର→ソーナープル(地名;OR) ×ソーナプル
  • Jalandhar जालंधर ਜਲੰਧਰ→ジャーランダル(地名;PB) ×ジャランダル
  • Surat सूरत સુરત→スーラト(地名;GJ) ×スラト
  • Sholapur/Solapur सोलापुर सोलापूर→ソーラープル(地名;MH) ×ソーラープール

2-4 母音「 ौ」は、英語アルファベット表記で一般的に「o」になっている場合は、「オー」で表記する。

  • Rathore राठौड़→ラートール(人名) ×ラータウル
  • Johar जौहर→ジョーハル(人名) ×ジャウハル

3-1 ヒンディー語表記で、母音記号のない子音字が、語中で母音を読む子音字の前に来た場合、または語末に来た場合、または半子音字になっている場合、ヒンディー語の規則ではその子音字は子音のみを発音する。基本的にカタカナ表記でもそれに準じ、子音の音をそれに対応したカタカナで表記する。多くの場合、「子音+ウ」でカタカナ表記する。ただし、「ट
ठ त थ」と「ड ढ द ध」はそれぞれ「ト」、「ド」と表記する。また、【4】以降の項目も参照。

  • Agra आगरा→アーラー(地名)
  • Sapna सपना→サナー(普通名詞:夢)
  • Ashok अशोक→アショー(人名)
  • Kumar कुमार→クマー(人名)
  • Patna पटना→パナー(地名)
  • Jodhpur जोधपुर→ジョープル(地名)
  • Panipat पानीपत→パーニーパ(地名)
  • Prasad प्रसाद→プラサー(人名)

4-1 「cha च」と「chha छ」を子音のみ表記する場合は、「チュ」「チ」の2通りのカタカナ表記の可能性があるが、語中の場合は「チュ」で、語末の場合は「チ」で表記する。

  • Kachra कचरा→カチュラー(普通名詞:ゴミ)
  • Machhli मछली→マチュリー(普通名詞:魚)
  • Mirch मिर्च→ミル(普通名詞:チリ)
  • Kutch/Kachchh कच्छ→カッ(地名)

5-1 「ja ज」と「jha झ」を子音のみ表記する場合は、日本語では「ジュ」「ジ」の2通りの表記の可能性があるが、基本的に「ジ」で統一していく。

  • Ajmer अजमेर→アメール(地名)
  • Bhojpuri भोजपुरी→ボープリー(言語名)
  • Raj राज→ラー(人名)
  • Rajnikant रजनीकांत→ラニーカーント(人名)
  • Taj Mahal ताज महल→ター・マハル(建物名)

5-2 ただし、半子音字「j ज्」と「jh झ्」の後に子音字が続く場合、または潜在母音を伴わない子音字「ja ज」と「jha झ」の後に「ra
र」が続く場合、「ジュ」と表記する。「jya ज्य」も参照(7-4)。

  • Jwalamukhi ज्वालामुखी→ジュワーラームキー(普通名詞:火山)
  • Vajrendra वज्रेंद्र→ヴァジュレーンドラ(人名)
  • Bajrangbali बजरंगबली→バジュラングバリー(人名)

6-1 「na न ण」を子音のみ表記する場合は「ン」、「ma म」を子音のみ表記する場合は「ム」と表記する。ただし、「pa pha ba bha
ma प फ ब भ म」の前の「म」を子音のみ表記する場合、「ン」と表記する。「nna न्न」と「mma म्म」の項目も参照(14-3)。

  • Janta/Janata जनता→ジャター(普通名詞:人民)
  • Hindi हिन्दी→ヒディー(言語名)
  • Hanuman हनुमान→ハヌマー(人名)
  • Ravan रावण→ラーヴァ(人名)
  • Ram राम→ラー(人名)
  • Champaner चंपानेर→チャパーネール(地名)
  • Chidambaram चिदम्बरम/चिदंबरम→チダバラ(人名)

6-2 ただし、「म」と「प फ ब भ म」の間で単語の節が切れている場合は、「म」は「ム」と表記する。

  • Rampal रामपाल→ラーパール(人名) ※ram+pal

7-1 「ya य」を子音のみ表記する場合、「ヤ」「イ」「エ」など数通りの表記の可能性があるが、基本的に英語表記の通例に従う。英語表記で語末に「y」が来たら、「イ」と読む。

  • Meghalaya मेघालय→メーガーラ(州名)
  • Jayalalitha जयललिता→ジャラリター(人名)
  • Rai राय→ラー(人名)
  • Chai चाय→チャー(食品名)
  • Jaipur जयपुर→ジャプル(地名)
  • Uday उदय→ウダ(人名)
  • Agyey अज्ञेय→アギェー(人名)
  • Koel कोयल→コール(人名)
  • Nair नायर→ナール(人名)

7-2 英語表記にも揺れがある場合は「イ」を優先する。

  • Kaimkhani/Kayamkhani कायमखानी→カームカーニー(人名)
  • Gaikwad/Gaekwad गायकवाड→ガークワード(人名)
  • Rai/Rae Barelly रायबरेली→ラー・バレーリー(地名)

7-3 「-iya- -इय-」と「-iyaa- -इया-」はアルファベット表記では「-ia-」と表記される傾向にあるが、ヒンディー語表記に従って「イヤ」または「イヤー」と表記する。

  • Sania सानिया→サーニヤー(人名)
  • Bhutia भूटिया→ブーティヤー(人名)
  • Venkaiah वेंकैया→ヴェーンカイヤー(人名)
  • Ghaziabad ग़ाज़ियाबाद→ガーズィヤーバード(地名)

7-4 半子音字+「ya य」は基本的に拗音で表記する。なお、「shya श्य」は「シャ」、「chya च्य」は「チャ」、「jya ज्य」は「ジャ」、「tya
त्य」は「ティヤ」、「dya द्य」と「dhya ध्य」は「ディヤ」、「nya न्य」は「ンニャ」と表記する。「rya र्य」と「lya
ल्य」については8-1を参照。

  • Chanakya चाणक्य→チャーナキャ(人名)
  • Pyaar प्यार→ピャール(普通名詞:恋愛)
  • Shyaam श्याम→シャーム(人名)
  • Chyuti च्युति→チュティ(普通名詞:落下)
  • Jyotishi ज्योतिषी→ジョーティシー(普通名詞:占星術師)
  • Satya सत्य→サティヤ(普通名詞:真実)
  • Vidyalaya विद्यालय→ヴィディヤーラヤ(普通名詞:大学)
  • Dhyan ध्यान→ディヤーン(普通名詞:集中)
  • Kanyakumari कन्याकुमारी→カンニャークマーリー(地名)

8-1 「ra र」と「la ल」を子音のみ表記する場合、「リ」「ル」の2通りの表記の可能性がある。基本的には「ル」で統一していくが、後に「ya
य」が続く場合のみ「リ」で表記する。

  • Arvind अरविंद→アヴィンド(人名)
  • Sharma शर्मा→シャマー(人名)
  • Shilpa शिल्पा→シパー(人名)
  • Aishwarya ऐश्वर्या→アイシュワヤー(人名)
  • Maurya मौर्य→マウヤ(人名)
  • Kaushalya कौशल्या→カウシャヤー(人名)

9-1 「va/wa व」はワ行、ヴァ行、ときにバ行のカタカナ表記の可能性がある。また、「व」を子音のみ表記する場合、「ヴァ」「ヴ」「ワ」「ウ」「オ」など数通りのカタカナ表記の可能性がある。それらのカタカナ表記の選択は基本的に英語表記の通例を参考にする。

  • Varma/Verma वर्मा→ヴァルマー(人名)
  • Varanasi वाराणसी→ヴァーラーナスィー(地名)
  • Motwani मोटवानी→モートーニー(人名)
  • Advani आडवानी→アードヴァーニー(人名)
  • Yadav यादव→ヤーダ(人名)
  • Diu दीव→ディー(地名)
  • Rao राव→ラー(人名)
  • Nabarangpur नवरंगपुर→ナラングプル(地名)

9-2 複数の英語表記がある際は「ヴァ」を優先する。

  • Shiva/Shiv शिव→シヴァ(人名)

9-3 「-wat/vat -वत」と「-wati/vati -वती」は「ワト」と「ワティー」で、「-wala/vala -वाला」は「ワーラー」で、「-shwar/shvar
-श्वर」は「シュワル」で統一する。

  • Parwati/Parvati पारवती→パールワティー(人名)
  • Saraswati/Sarasvati सरस्वती→サラスワティー(人名)
  • Sabziwala सब्ज़ीवाला→サブズィーワーラー(普通名詞:野菜屋)
  • Bikanervala बीकानेरवाला→ビーカーネールワーラー(店名)
  • Maheshwar महेश्वर→マヘーシュワル(人名)

9-4 半子音字の後に「व」が来た場合、「व」は基本的にワ行で表記する。ただし、「vi वि」または「vii वी」は、「イ」または「イー」で、「ve
वे」の場合は、「エー」で表記する。

  • Dwivedi द्विवेदी→ドヴェーディー(人名)
  • Lakshadweep लक्षद्वीप→ラクシャドイープ(地名)
  • Shweta श्वेता→シュエーター(人名)

10-1 「sha श ष」を子音のみ表記する場合、日本語では「シュ」「シ」の2通りの表記の可能性があるが、基本的に「シュ」で統一していく。

  • Kashmir कश्मीर→カシュミール(地名)
  • Uttar Pradesh उत्तर प्रदेश→ウッタル・プラデーシュ(州名)
  • Maheshwar महेश्वर→マヘーシュワル(人名)
  • Ganesh गणेष→ガネーシュ(人名)

11-1 「si सि」と「sii सी」はそれぞれ「シ」、「シー」と表記する方法もあるが、それぞれ「スィ」、「スィー」と表記することにする。同じく「ji
ज़ि」と「jii ज़ी」もそれぞれ「ズィ」、「ズィー」と表記する。

  • Sindh सिंध→スィンド(地名) ×シンド
  • Sita सीता→スィーター(人名) ×シーター
  • Zinta ज़िंटा→ズィンター(人名) ×ジンター
  • Zeenat ज़ीनत→ズィーナト(人名) ×ジーナト

11-2 「si सि」と「shi शि」で表記の揺れがある場合は、「シ」を優先する。補足事項17-4も参照のこと。

  • Nashik/Nasik नाशिक/नासिक→ナーク(地名) ×ナースィク

12-1 「ha ह」を子音のみ表記する場合は、基本的に語中では「フ」、語末では「ハ」と表記する。

  • Ahlawat अहलावत→アラーワト(人名)
  • Griha गृह→グリ(普通名詞:家)
  • Satyagraha सत्याग्रह→サティヤーグラ(運動名)

12-2 長母音の後に来た母音記号を伴わない「ह」は表記しない。

  • Shahrukh Khan शाहरुख़ ख़ान→シャルク・カーン(人名)
  • Giridih गिरीडीह→ギリーディ(地名)
  • Fatehpur Sikri फ़तेहपुर सीकरी→ファテプル・スィークリー(地名)
  • Lohri लोहड़ी→ロリー(祭り名)

12-3 鼻音の後に来た母音記号を伴わない「ह」は英語表記に従い、「h」の場合は表記せず、「ha」の場合は「ハ」と表記する。

  • Singh सिंह→スィン(人名)
  • Narsimhapur नरसिंहपुर→ナルスィンプル(地名)

12-4 「nha न्ह」はナ行で、「mha म्ह」はマ行で、「lha ल्ह」はラ行で表記する。

  • Kanha कान्हा→カーー(人名) ×カーンハー
  • Kumhar कुम्हार→クール(普通名詞:壺職人) ×クムハール
  • Kolhapur कोल्हापुर→コーープル(地名) ×コールハープル
  • Malhotra मल्होत्रा→マートラー(人名) ×マルホートラー

12-5 語頭の子音字が、母音記号を伴っていない、もしくは「e ए」の母音記号を伴った子音で、その後に母音記号を伴わない「ha ह」が続く場合は、カタカナ表記は「子音+エヘ」になる。ただし、語頭が子音字ではなく、母音字「a
अ」の場合は「アハ」と表記する。

  • Mahansar महनसर→メヘンサル(地名) ×マハンサル
  • Rahman/Rehman रहमान→レヘマーン(人名) ×ラフマーン
  • Mehta मेहता→メヘター(人名) ×メーヘター
  • Ahmedabad अहमदाबाद→アハマダーバード(地名) ×エヘメダーバード

13-1 ヒンディー語の発音規則では発音されないはずの潜在母音「a अ」が、英語アルファベットで表記されている場合は「ア」を表記する。英語アルファベット表記で「a」が付いたり付かなかったりする場合は、「ア」を表記する。例外規則16-2も参照。

  • Dharmendra धर्मेंद्र→ダルメーンド(人名)
  • Krishna कृष्ण→クリシュ(人名)
  • Matsya मत्स्य→マツ(地名)
  • Mishra मिश्र→ミシュ(人名)
  • Bhishma भीष्म→ビーシュ(人名)
  • Gautam Buddha Nagar गौतम बुद्ध नगर ガウタム・ブッ・ナガル(地名)
  • Panaji/Panjim पणजी→パジー(地名)
  • Antra/Antara अंतरा→アンラー(人名)

13-2 潜在母音が「a」以外の母音でアルファベット表記されることがある。例えばベンガル人の名前の潜在母音は「o」になることがある。この場合はアルファベット表記されている母音に従ってカタカナ表記をする。

  • Chakraborty चक्रवर्ती→チャクラルティー(人名;WB)
  • Konkona कोंकणा→コーンナー(人名;WB)
  • Kiron किरण→キン(人名;WB)

14-1 カタカナ表記の際、促音は極力使用しない。ヒンディー語表記で同一の子音字の半子音字+子音字の連続が来た場合のみ「ッ」を利用するが、英語表記でそれが反映されていない場合はそれも省略する。

  • Madhya Pradesh मध्य प्रदेश→マディヤ・プラデーシュ(地名) ×マッディヤ・プラデーシュ
  • Pandit पंडित→パンディト(普通名詞:僧侶) ×パンディット
  • Masjid मस्ज़िद→マスジド(普通名詞:モスク) ×マスジッド
  • Dutt दत्त→ダト(人名)
  • Chhattisgarh छत्तीसगढ़→チャティースガル(州名)
  • Mallika मल्लिका→マリカー(人名)
  • Praful प्रफुल्ल→プラフル(人名) ×プラフッル

14-2 長母音の後に来た促音が来た場合、長母音を短母音化する。

  • Shetty शेट्टी→シェッティー(人名)
  • Reddy रेड्डी→レッディー(人名)
  • Koppikar कोप्पिकर→コッピカル(人名)

14-3 「nna न्न」は「ンナ」、「mma म्म」は「ンマ」と表記する。

  • Khanna खन्ना→カンナー(人名)
  • Samman सम्मान→サンマーン(普通名詞:名誉)

15-1 「tsa त्स」は「ツァ、ツィ、ツ、ツェー、ツォー」と表記する。

  • Utsav उत्सव→ウツァヴ(普通名詞:祭り)
  • Chikitsa चिकित्सा→チキツァー(普通名詞:医療)

15-2 英語の「of」に当たる「-i-」または「-e-」(イザーファト)は「+エ・」で、「-ul-」は「+ウル・」で表記する。

  • Kohinoor कोहेनूर→コーへ・ヌール(宝石名)
  • Mughal-e-Azam मुग़ले आज़म→ムガレ・アーザム(映画名)
  • Diwan-e-Khas दीवाने ख़ास→ディーワーネ・カース(普通名詞:貴賓謁見の間)
  • Eid-ul-Fitr ईद उल-फ़ित्र→イードゥル・フィトル(祭り名)

15-3 英語の頭文字が地名になっている場合は、アルファベットをローマ字読みする。

  • Noida नोएडा→ノイダ(地名) ※New Okhla Industrial Development Area

15-4 地名などの中に、方角を示す単語やその他日本語に訳して差し支えない単語が入っている場合、その部分だけ翻訳して表記する。ただし、その単語が既に地名の一部となっていると判断される場合は翻訳せずに残す。

  • Uttara Kannada उत्तर कन्नड→カンナダ(地名)
  • Lower Dibang Valley नीची दिबंग घाटी ディバン(地名)
  • Uttarkashi उत्तरकाशी→ウッタルカーシー(地名) ×北カーシー

15-5 ヒンディー語の単語で特殊な発音をするものは、カタカナ表記の際もそれに従う。

  • Gurugaon गुड़गाँव→グルガーオン(地名)
  • Janamashtmi जन्माष्टमी→ジャマーシュトミー(祭り名)

15-6 アラビア語・ペルシア語起源の単語で、「u」と「o」どちらでも表記される母音を持つものがある。この場合は「オ」で統一する。

  • Sohail सुहैल→ハイル(人名)
  • Mohabbat मुहब्बत/मोहब्बत→ハッバト(普通名詞:恋愛)
  • Mohar मुहर/मोहर→ハル(普通名詞:金貨)

16-1(外国語の固有名詞) インド国内のヨーロッパ語(特に英語)の人名、地名、またはインド固有の名詞でありながら英語化した単語などに関しては上記の原則を適用せず、英語アルファベットのカタカナ表記の通例に従う。

  • Connaught Place कनाट प्लेस→コンノート・プレイス(地名)
  • Ellora एलोरा/वेलूर→エローラ(地名)
  • Sonia Gandhi सोनिया गांधी→ソニア・ガーンディー(人名)
  • Tagore ठाकुर→タゴール(人名)
  • George Fernandes जॉर्ज फर्नांडिस→ジョージ・フェルナンデス(人名)
  • John Abraham जॉन अब्राहम→ジョン・アブラハム(人名)
  • Dino Morea दीनो मोरिया→ディノ・モレア(人名) ※イタリア名
  • Robertsganj राबर्ट्सगंज ロバーツガンジ(地名) ※Roberts(英語人名)+ganj(市場)
  • Mahe/Mahé माहे→マエ(地名) ※フランス語
  • Vasco da Gama वास्को डि गामा→ヴァスコ・ダ・ガマ(地名) ※ポルトガル語

16-2(印欧諸語以外の固有名詞) 南インドのドラヴィダ語族系、インド北部のシナ・チベット語族系およびオーストロアジア語族系の固有名詞(特に地名)などには上記の原則を適用せず、ヒンディー語表記と各言語の表記(特に長母音と短母音の区別)を参考にしながら、英語アルファベットをもとに、英語アルファベットのカタカナ表記の通例に従ってカタカナ表記をする。注意点として、1)その際、11-1は適用しない。2)シナ・チベット語族系またはオーストロアジア語族系の固有名詞に頻出する音節末尾の「-ng」は「ング」ではなく「ン」と表記する。3)明らかにインド・アーリヤ語族からの借用語である場合はヒンディー語表記を最優先するが、発音しないはずの潜在母音が英語表記に書かれている場合は潜在母音も含めて表記する(13-1と13-2も参照)。4)南インドの固有名詞の末尾の「+an」と「+am」はそれぞれ「+アン」、「+アム」で表記していく。5)タミル語やマラヤーラム語の英語アルファベット表記によく出て来る「zh」はラ行で表記する。

  • Chennai चेन्नई சென்னை→チェンナイ(地名;TN) ×チェーンナイー
  • Darjeeling दार्जिलिंग→ダージリン(地名;WB) ×ダールジリング
  • Gangtok गंगटोक→ガントク(地名;SK) ×ガーングトーク
  • Shillong शिलोंग→シロン(地名;ML) ×シローング
  • Hyderabad हैदराबाद హైదరాబాదు→ハイダラーバード(地名;AP) ×ハイダラーバードゥ(テルグ語読み)
  • Ramanathapuram रामनाथपुरम இராமநாதபுரம் ラーマナータプラム(地名;TN) ×ラームナートプラム/イラーマナータプラム
  • Bagalkot बागलकोट ಬಾಗಲಕೋಟೆ→バーガルコート(地名;KA) ×バーガルコーテ(カンナダ語読み)
  • Alappuzha अलापेझा ആലപ്പുഴ→アーラップラー(地名;KL) ×アーラップザー

■原則全面適用の州
ウッタラーンチャル州、パンジャーブ州、チャンディーガル準州、ハリヤーナー州、デリー、ウッタル・プラデーシュ州、ビハール州、ジャールカンド州、ラージャスターン州、マディヤ・プラデーシュ州、チャッティースガル州、アッサム州、トリプラー州、オリッサ州、グジャラート州、マハーラーシュトラ州、ダマン&ディーウ準州、ダードラー&ナガル・ハヴェーリー準州、ゴア州

■原則大部分適用の州
ジャンムー&カシュミール州(ラダック地方は適用外)、ヒマーチャル・プラデーシュ州(ラーハウル&スピティ地方は適用外)、西ベンガル州(北部に適用外の地名あり)

■原則部分的適用の州(ヒンディー語と共通の語彙のみ適用)
アルナーチャル・プラデーシュ州、ナガランド州、マニプル州、アーンドラ・プラデーシュ州、カルナータカ州、ケーララ州、タミル・ナードゥ州

■原則適用外の州
スィッキム州、メーガーラヤ州、ミゾラム州、ポンディチェリー準州、ラクシャドイープ準州、アンダマン&ニコバル諸島準州

 

16-3(日本語になった固有名詞) 日本語に定着していると判断される単語については、日本語に定着したカタカナ表記を利用する。ただし、短母音と長母音の区別については原則を死守する。

  • Mahal महल→メヘル→マハル(普通名詞:宮殿)
  • Nehru नेहरू→ネヘルー→ネルー(人名)
  • Deccan दक्खिन→ダッキン→デカン(地名)
  • Sanskrit संस्कृत→サンスクリト→サンスクリット(言語名)
  • Ramayan रामायण→ラーマーヤン→ラーマーヤナ(書物名)
  • Bazaar बाज़ार→バーザール(普通名詞:市場) ×バザール
  • Yog/Yoga योग→ヨーガ(普通名詞) ×ヨガ

16-4(文法基本単語) ヒンディー語の文章の基本構成単位である単語(代名詞/後置詞/コピュラ動詞など)については、以下のような表記する。

  • main मैं→マェン
  • hai/hain है/हैं→ハェ/ハェン
  • ka/ke/ki का/के/की→カ/ケ/キ
  • mein/ko/se में/को/से→メン/コ/セ
  • ne ने→ネ

17-1(南アジア諸国の固有名詞) 南アジアの他国の固有名詞については上記の原則を適用せず、通例に従う。ただし、ヒンディー語の姉妹語ウルドゥー語が国語のパーキスターンの固有名詞にだけは基本的に原則を適用(17-2も参照)。

  • Bangladesh बांग्लादेश→バングラデシュ(国名) ×バーングラーデーシュ
  • Nepal नेपाल→ネパール(国名) ×ネーパール
  • Bhutan भूटान→ブータン(国名) ×ブーターン
  • Pakistan پاکستان पाकिस्तान→パーキスターン(国名) ×パキスタン

17-2(イスラーム関係の固有名詞) ムスリムの人名などに関しては、インドではヒンディー語表記を、パーキスターンではウルドゥー語表記を適用する。具体的には、1)インドの固有名詞では語末の「ヘー(ہ
または ح)」を長母音で表記し、パーキスターンの固有名詞では語末の「ヘー」を省略する。2)インドの固有名詞ではカ(ख़)をカ行で表し、パーキスターンの固有名詞では「ケー(خ)」をハ行で表す。

  • Fatehpur Sikri फ़तेहपुर सीकरी→ファテープル・スィークリー(地名;印)
  • Shahrukh Khan शाहरुख़ ख़ान→シャールク・ーン(人名;印)
  • Nusrat Fateh Ali Khan نصرت فتح علی خان नुसरत फ़तेह अली ख़ान→ヌスラト・ファ・アリー・ーン(人名;パ)

17-3(新旧名の使い分け) 都市名の新名と旧名の使い分けについては、文脈を見て決定する。例えばまだ都市名が旧名の頃を題材にした小説にその都市名が出てきた際には旧名を利用する。また、旧名は英語だと判断し、例外事項16-1を適用する。

  • Calcutta कलकत्ता→カルカッタ(地名;旧名)
  • Kolkata कोलकाता→コールカーター(地名;新名)
  • Bombay बोम्बे→ボンベイ(地名;旧名)
  • Mumbai मुंबई→ムンバイー(地名:新名)

17-4(ぶれ) ヒンディー語表記をはじめとした現地語表記や英語表記などにぶれがあり、どちらも同じくらい使われていて、どちらかひとつに定められないことがある。その場合は字数が少なくなる方を優先する。規則11-2も参照のこと。

  • Kochi कोच्चि കൊച്ചി/കോച്ചി→チ(地名) ×コーチ
  • Nashik/Nasik नाशिक/नासिक→ナーク(地名) ×ナースィク

カタカナ表記の鬼

「パタック」など

なぜインドのトイレ普及率は5割以下なのか(東洋経済ONLINE)

 スラブ・インターナショナルの創始者の名前はビンデーシュワル・パータクである。特に「パータク」の部分に気を付けてもらいたい。

 他には、「モディ」はモーディー、「マハトマ・ガンディー」はマハートマー・ガーンディー、「ムンバイ」はムンバイーとするとより良い。

 ところで、本文中に「人々が屋外に排泄した物は、モヘンジョダロ(インダス文明の都市遺跡)の時代から、アンタッチャブル(不可触民)の階層の人々が、手で処分をしてきたという事情があるからだ。」とさも定説のように書いてあるが、そんなことが分かっているのだろうか。いい加減なことは書かない方がいいだろう。

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モーディー政権閣僚カタカナ表記

 ナレーンドラ・モーディー新政権の閣僚が公表され、日本でも報道されているが、カタカナ表記が酷いことになっているので、ここでまとめて、より正しい表記を記しておく。大臣については今後変更になることもあるのだが、ここでは2014年5月28日現在のものにしておき、間違いの修正を除いて更新はして行かない。

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「ジャイトリー」「デーパック」「ビベック」「アービンド」など

焦点:インド版「サッチャー改革」へ、政権交代目指すモディ氏が描く未来(ロイター)

 インドの下院総選挙が始まったことで、日本でも「世界最大の選挙」が報道されるようになって来ている。ただ、不慣れな記者が書いていることが多いようで、カタカナ表記まで手が回らないようだ。上記の記事にもいくつか突っ込み所がある。

 その中でもここで特に取り上げたいのは、インド人民党(BJP)の政治家アルン・ジェートリーである。英語アルファベットでは彼の名字は「Jaitley」と書くので、どうしても「ジャイトリー」などと表記したくなってしまうが、ヒンディー語表記を見れば、これがジェートリーであることは明白である。BJPが与党となった場合、要職に就任する可能性が高い政治家なので、予めここで一石を投じておく。

 また、BJPの首相候補はナレーンドラ・モーディーと綴るのが最上だと考えているが、長母音の省略ならば容認する姿勢なので、この記事通りでもいいだろう。

 「デーパック・カント」はディーパク・カーント、「ビベック・デブロイ」はビべーク・デーブローイ、「アービンド・パナガリヤ」はアルヴィンド・パナガーリヤーにすると一番文句が出ないだろう。

 他に、「アマルティア・セン」は個人的にはアマルティヤ・セーンとしているが、これはかなり細かい訂正になる。

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「タクール」など

インド女性暴行死事件、上告した2被告の死刑執行延期(AFPBB News)

 2012年12月のデリー集団強姦事件の関連記事。逮捕された被告たちの名前が挙がっている。丁寧にアルファベットを添えてカタカナ表記されているが、それぞれに言いたいことがある。その中で今回特に取り上げたいのは「タクール」である。これは正しくはタークルと読む。アジア初のノーベル文学賞受賞者ラヴィーンドラナート・タゴールの「タゴール」も実はこのタークルが英語訛りしたものだ。地域によって異なるが、この名字は地主階級を示し、ヒンディー語圏ではラージプート、ベンガル地方ではブラーフマンであることが多い。

 他に、「ビナイ・シャルマ」がヴィナイ・シャルマー、「ムケシュ・シン」がムケーシュ・スィン、「パワン・グプタ」がパワン・グプターとなると、僕の定めたカタカナ表記原則に適合することになる。

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「ブパシ」など

「デリーに行こう!」美貌の女社長と無責任中年男、インド発の人情ロードムービー(MSN)

 2月15日(土)からヒンディー語映画「デリーに行こう!」(原題「Chalo Dilli」)が劇場一般公開される。それに関連した記事であるが、やはりカタカナ表記に突っ込み所が目立つ。それらの多くは、字幕や配給元に起因するものが多いのだが、この記事の中で一番気になったのは、主演女優の夫の名前である。マヘーシュ・ブーパティが正しいのだが、「マヘシュ・ブパシ」となっている。これは、以前取り上げた「セス」(参照)と全く同じミスで、「th」をサ行で翻字してしまう習慣が抜けていない。マヘーシュ・ブーパティはインドを代表するテニス選手でもあり、間違えてもらいたいくないので、ここで改めて強調させてもらった。

 主演男優の名前も正確ではない。「ビナイ・パタック」となっているが、本ブログが推奨しているのは「ヴィナイ・パータク」である。

 他に気になったのは、「ムンバイ」→ムンバイー、「ミヒカ」→ミヒカー、「ラーラ・ダッタ」→ラーラー・ダッター、「ジャイプール」→ジャイプル、「マヌ」→マンヌーなどである。

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「アムリツァル」など

インド黄金寺院籠城排除 英、部隊関与認める(東京新聞)

 この記事の中ではいくつか指摘したい部分があるのだが、その中でも筆頭なのが、パンジャーブ州の都市「アムリツァル」である。これは是非アムリトサルとして欲しい。この語の構成はアムリト(甘露)+サル(湖)であり、分けて読んだ方が分かりやすい。

 他に気になったのは「インディラ・ガンジー」である。これはインディラー・ガーンディーが最も正しい。

 あとは、「パンジャブ」をパンジャーブに、「ヒンズー」をヒンドゥーに、「イスラム」をイスラームにしてくれれば完璧である。

 ちなみに、グル・ナーナクが開祖の宗教のことを僕はスィク教としているが、シーク教でもいいだろう。

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「オート・リックショー」など

日系電動バイクのテラモーターズ、インド進出へ(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 インドに1度でも旅行したことがあるのなら、絶対に犯さないミスが見受けられたので紹介させてもらう。オート・リクシャーのことを「オート・リックショー」としているのである。これは「Auto Rickshaw」をそのまま読んでしまったためであろう。オート・リキシャーでもいいが、「オート・リックショー」だけは許容してはならないだろう。

 他に、本ブログでは「アーメダバード」をアハマダーバード、「ハイデラバード」をハイダラーバードと表記することを推奨しているので、いい加減聞き入れてもらえればと思う。

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「サトヤ・ナデラ」など

米MS、CEOにナデラ氏 ゲイツは技術アドバイザー(Yahoo!ニュース)

 インドにとっては非常に大きなニュース。IT企業大手のマイクロソフトCEOにインド人が就任。マイクロソフトのインド支社が拠点を置くハイダラーバードの出身だ。日本のメディアでは新CEOの名前は「サトヤ・ナデラ」となっているが、カタカナ表記原則から言えば、サティヤ・ナーデッラが正しい表記となる。確か、かつてインドに存在したIT企業Satyamのカタカナ表記はサティヤムで通用していたと記憶している。SatyaとSatyamは同じ単語であり、統一するのが賢明であろう。「サトヤ」にすべき強い根拠はない。また、名字の方はテルグ文字に依るとナーデッラである。

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「パンチャヤット」など

集団レイプの刑を命じたインドの村、自治組織「パンチャヤット」とは(AFPBBニュース)

 西ベンガル州で起こった事件を扱った記事。まず、インドの農村の年長者会議のカタカナ表記が間違っている。「パンチャヤット」とあるが、これは正しくはパンチャーヤトである。また、この記事を読むとパンチャーヤト全体が悪のような印象を受けるが、パンチャーヤトはインドの伝統的な農村自治組織であり、独立後に正式に行政組織に組み込まれた制度である。誤解を招く恐れのある題名だ。

 記事の中には「カップ・パンチャヤット」なる組織も出て来る。これは正しくはカープ・パンチャーヤトである。カタカナ表記も問題なのだが、それよりもさらに大きな問題は、西ベンガル州で起こった事件にカープ・パンチャーヤトを結び付けている点である。確かにカープ・パンチャーヤトは、非合法に司法権などを行使して名誉殺人などの事件を度々起こしている。だが、カープ・パンチャーヤトは、ジャートと呼ばれるコミュニティーが多く住んでいるパンジャーブ州、ハリヤーナー州、ウッタル・プラデーシュ州西部に特徴的な制度であり、西ベンガル州は関係がない。今回、集団レイプを命じた組織はシャリーシー・アダーラト(Shalishi Adalat)と呼ばれており、西ベンガル州を長年支配して来た左翼政党の遺産である。

 他に、「カビタ」がカヴィター、「ディヴィヤ・アイヤー」がディヴィヤー・アイヤルになるとベターである。

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「セス」など

スズキ、インドに新工場建設へ―新たに100%子会社設立(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 インドの自動車業界において圧倒的なシェアを誇るのがスズキである。その現地子会社名は一般に「マルチ・スズキ」とされるが、ヒンディー語専門家の立場から言ったら、正しくはマールティー・スズキとなる。「マルチ」は「マルチメディア」や「マルチプル」の「Multi」ではなく、インドの神様ハヌマーンの別名であり、現地の文化を尊重するならば、これは「マールティー」としなければならない。ただ、企業名であるし、当該の企業がその日本語名を「マルチ・スズキ」と頑強に主張するならば、こちらから強く修正を求めることはできないだろう。

 今回目に付いたのはその企業名ではなく、同社のトップにいる人の名前である。本文中に「セス最高財務責任者」または「セスCFO」なる人物が出て来るが、これは正しくは「セート」である。ヒンディー語の「th」を英語の慣習に従ってサ行にしてしまう人が多いのだが、いい加減改めていただきたい。ヒンディー語の「th」はタ行で音訳する。

 他に、同社の会長として「バルガバ」という人名が出て来るが、これもバールガヴァになると申し分ない。

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